人材育成研修を設計する4つのポイント|プログラム例・実施ポイントも解説

人材育成研修を設計する際には、経営戦略との連動や自社の課題解決に向けたニーズの洗い出しなど、押さえるべきポイントがいくつかあります。

しかし、以下のように感じている人事担当者も多いのではないでしょうか。

・人材育成の効果的な進め方がわからない
・研修の設計や評価の方法に悩んでいる
・せっかくの研修が一過性で終わってしまう

結論から言うと、研修の目的を明確にし、体系的な教育体系を設計することが重要です。また、研修効果の可視化とPDCAサイクルの確立、継続的なフォローアップにより学びを定着させる工夫も必要不可欠でしょう。

本記事では、人材育成研修を設計する際の4つのポイントと6つの具体的な研修プログラム例を解説します。加えて、研修効果の測定・評価手法や、自律的な学習を促すフォローアップ術についても詳しく紹介します。

これらを参考に、自社の状況に合わせた研修設計を行うことで、個人と組織の持続的な成長を実現することができるでしょう。

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人材育成研修を設計する4つのポイント

人材育成研修を設計する際には、以下の4つのポイントを押さえることが重要です。

  • 経営戦略と連動した研修目標を設定する
  • 企業の成長ステージに応じた人材育成計画を立てる
  • 自社の課題を解決する研修ニーズを洗い出す
  • 教育体系の設計を可視化する

これらのポイントを踏まえた設計を行うことで、個人と組織の成長を促進する効果的な人材育成が実現できます。

また、定期的な見直しを行い柔軟に内容をアップデートしていくことも大切です。

1.経営戦略と連動した研修目標を設定する

人材育成の効果を最大化するには、経営戦略との明確な連動が必要です。研修目標の設定には、以下の3つの視点から体系的なアプローチを行うと良いでしょう。

視点具体的なアプローチ
中長期計画との連動・売上目標や事業展開から必要な人材要件を抽出
・数値化可能なKPIの設定
市場環境への対応・業界トレンドの分析と必要スキルの定義
・デジタル化対応など将来必須となる能力の特定
部門別目標との整合・各部門の業績目標に紐づく具体的な行動指標の設定
・四半期ごとの進捗確認と評価基準の明確化

目標設定の際は、象的な表現を避け、具体的な行動レベルまで落とし込むことがポイントです。また、定期的な見直しと柔軟な軌道修正も欠かせません。

研修の成果を可視化するため、受講前後でのスキルチェックや行動変容の測定を計画的に実施することも重要です。これにより、投資対効果の検証と継続的な改善が可能になるでしょう。

2.企業の成長ステージに応じた人材育成計画を立てる

企業の成長ステージによって、求められる人材像や育成の重点項目は大きく変化します。各段階に応じた適切な人材育成計画の策定が、持続的な組織成長の鍵となります。

成長ステージ重点育成項目
スタートアップ期即戦力の育成、基礎スキルの習得、多能工化
成長期マネジメント力強化、専門性向上、組織構築力
安定期次世代リーダー育成、ナレッジ継承、イノベーション創出

特にスタートアップ期から成長期への移行時には、マネジメント人材の早期育成が課題となります。この時期の育成計画では、現場でのOJTと体系的な研修プログラムを組み合わせた実践的なアプローチが効果的です。

事業規模が拡大すると、組織構造も階層化していきます。そのため、各階層で必要となるスキルセットを明確にし、計画的な育成施策を講じることが重要です。採用計画と連動させながら、一貫性のある人材育成体系を構築していきましょう。

3.自社の課題を解決する研修ニーズを洗い出す

効果的な人材育成研修を実施するには、まず自社における課題の本質を見極める必要があります。課題の洗い出しには、定量的なデータ分析と定性的な情報収集の両面からのアプローチが有効です。

課題分析の手法具体的な実施内容
定量分析業務KPI、スキル評価シート、従業員満足度調査の数値化
定性分析部門長ヒアリング、1on1面談、従業員アンケートの実施

部門横断的な視点で課題を把握するためには、経営層・管理職・現場社員それぞれの立場からの意見収集が重要になります。特に現場で日々発生している具体的な問題点については、部門長や管理職への詳細なヒアリングを通じて明確化していきましょう。

収集した情報は、「現状のスキルレベル」と「求められる水準」の差異として整理します。このギャップを埋めるために必要な知識やスキルが、研修を通じて習得すべき具体的な学習項目です。

4.教育体系の設計を可視化する

効果的な人材育成を実現するには、全社の教育体系を明確に設計し、可視化することが重要です。体系的な教育計画により、各階層や職種に応じた適切な研修機会を提供できます。

教育体系の設計では、まず全社の人材要件を整理し、必要なスキルや知識を明確にします。次に、それらを階層別・職種別・スキル領域別に分類し、具体的な研修プログラムへと落とし込んでいきます。

教育区分主な内容
階層別研修新入社員、若手、中堅、管理職など各階層に必要なスキル習得
職種別研修営業、技術、企画など職種固有の専門知識・スキル向上
共通研修コンプライアンス、ビジネスマナーなど全社共通の基礎知識

年間教育計画の策定では、各研修の目的や対象者、実施時期、到達目標を具体的に定めます。部門別の教育体系は、各部門の業務特性を考慮しながら全社共通プログラムとの整合性を図ることが大切です。

6つの研修プログラム例と実施ポイント

6つの研修プログラム例と実施ポイント

人材育成において、実施ポイントを押さえることで効果的なスキル向上と組織の成長が期待できます。

ここでは、6つの研修プログラムを例として、実施ポイントを解説します。

  • 階層別研修|階層ごとに必要なスキルを習得
  • マネジメント研修|リーダーシップ開発に特化
  • デジタルスキル研修|DX時代に対応するスキルを習得
  • コミュニケーション研修|円滑な人間関係構築に必須
  • コンプライアンス研修|法令遵守の意識を向上
  • 異文化理解研修|グローバル人材を育てる

これらの研修プログラムを事業戦略や現場課題に合わせて設計し、実務で活用できるフォローアップ体制を構築することで、より実効性の高い人材育成を実現できます。

1.階層別研修|階層ごとに必要なスキルを習得

階層別研修は、組織の階層ごとに必要なスキルと役割を段階的に習得できる体系的な育成プログラムです。組織における立場や責任に応じた適切な学習機会を提供することで、効果的な人材育成を実現できます。

階層求められるスキル研修内容例
新入社員ビジネスマナー、業務基礎社会人基礎研修
中堅社員後輩指導、専門性向上リーダーシップ研修
管理職マネジメント、戦略立案マネジメント研修

各階層で習得すべきスキルを明確に定義し、昇進・昇格要件と連動させることで、キャリアパスに沿った効果的な人材育成が可能になります。評価基準を具体化し定期的な到達度確認を行うことで、育成の進捗を適切に把握できます。

また、階層別研修は一度限りではなく、継続的な学習機会として位置づけることが重要です。組織の成長段階や事業環境の変化に応じて研修内容を柔軟に見直し、最適化を図ることをおすすめします。

【階層別研修】若手・中堅・管理職に向けた研修実施のポイントやカリキュラム例

2.マネジメント研修|リーダーシップ開発に特化

リーダーシップ開発に特化したマネジメント研修では、管理職やリーダー候補者の実践的なスキル向上を目指します。研修の効果を最大化するため、以下の3つの要素を組み込んだプログラム設計が有効です。

プログラム要素主な内容と効果
自己理解と診断リーダーシップ診断ツールを用いた自己分析、360度評価による多面的なフィードバック
部下育成スキルコーチング手法の習得、効果的なフィードバック技術の実践
実践的演習ケーススタディによる意思決定トレーニング、ロールプレイを通じた実践力強化

マネジメント研修を実施する際は、座学だけでなく実践的な演習を通じて学びの定着を図りましょう。参加者同士のディスカッションやロールプレイを取り入れることで、現場で直面する課題への対応力を効果的に養うことができます。

また、研修後のフォローアップも重視し、学んだスキルを実務で活用する機会を意図的に設けることで、より確実な成長を促すことが可能です。

マネジメント研修|組織の力を底上げするマネジメント研修のポイントを解説

3.デジタルスキル研修|DX時代に対応するスキルを習得

デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速に伴い、従業員のデジタルスキル向上は企業の競争力維持に不可欠となっています。

デジタルスキル研修では、従業員のITリテラシーレベルに応じた段階的な学習設計が重要です。以下の3段階で体系的なカリキュラムを構築することで、効果的な学習が可能となります。

  • 基礎レベル:クラウドツールの基本操作、情報セキュリティの基礎知識
  • 応用レベル:データ分析の手法、業務効率化ツールの活用スキル
  • 実践レベル:AI・RPA導入による業務改善、デジタルマーケティング戦略

研修形式は、オンライン学習と実践演習を組み合わせたハイブリッド型が効果的です。特に実践的なスキル習得には、実際のツールを使用した演習時間を十分に確保することが重要です。

また、研修効果を高めるために受講者の業務に直結した具体的な課題解決を題材とし、学んだスキルを即座に実務に活かせる工夫も必要です。

DX人材育成の成功ポイントは?育成ステップやプログラム例を解説

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4.コミュニケーション研修|円滑な人間関係構築に必須

職場における良好な人間関係の構築には、効果的なコミュニケーションスキルが不可欠です。コミュニケーション研修では、相手の立場に立って考え、適切に意思疎通を図る力を養います。 

研修では以下の3つのスキルを重点的に習得します。 

  • 傾聴スキル:相手の話を積極的に聞き、真意を理解する力 
  • アサーティブネス:自分の意見を明確に伝えつつ、相手の意見も尊重する姿勢 
  • 非言語コミュニケーション:表情や身振り手振りなどから相手の感情を読み取る力 

研修では、ロールプレイやグループワークを多く取り入れ、実践的なコミュニケーション力を身につけることが重要です。様々な場面を想定した演習を繰り返すことで、状況に応じた適切な対応力が養われます。 

また、研修後は参加者同士のフィードバックを通じて、自身の強みと改善点を認識することが大切です。日常業務の中で意識的にスキルを実践し、継続的な学びにつなげることが求められます。 

コミュニケーション研修|業務効率改善や生産性向上につながるコミュニケーション研修のポイントを解説

5.コンプライアンス研修|法令遵守の意識を向上

企業にとって、コンプライアンスは社会的責任を果たす上で欠かせない要素です。コンプライアンス研修では、法令や社内ルールを理解し、違反のリスクを未然に防ぐ意識を醸成します。

 研修では以下の3つの内容を中心に学びを深めます。 

  • 関連法規の理解:業界や職種に応じた法律や規制の基礎知識
  • 事例研究:過去の違反事例から学ぶ、リスク回避のポイント
  • 行動指針の浸透:企業理念や行動規範を日常業務に落とし込む方法

座学による知識習得だけでなく、ケーススタディやディスカッションを通じて、具体的な行動変容を促すことが重要です。受講者自身が直面しうる倫理的ジレンマを題材に、適切な判断プロセスを学ぶ機会を設けましょう。 

さらに、研修で得た学びを職場で実践し、定着させる工夫も必要です。定期的なフォローアップ研修やeラーニングの活用により、コンプライアンス意識を維持・向上させることが肝要です。

コンプライアンス研修|企業の社会的信用の向上や風土の改善を目指す

6.異文化理解研修|グローバル人材を育てる

グローバル化が進む現代のビジネス環境では、異文化理解力とグローバルコミュニケーション能力の向上が不可欠です。異文化理解研修では、文化的背景の異なる相手との効果的な協働手法を学びます。

研修では以下の3つの要素を段階的に習得していきます。

  • 各国・地域の商習慣やビジネスプロトコルの基礎知識
  • 異文化間での価値観の違いを理解し、受容するマインドセット
  • 言語や文化の壁を超えた効果的なコミュニケーション手法

特に重要なのは、座学だけでなく実践的なロールプレイやケーススタディを取り入れることです。海外拠点との実務を想定した模擬会議や現地スタッフとの対話シミュレーションを通じて、実践的なスキルを身につけられます。

また、海外駐在経験者による体験談や失敗事例の共有も、具体的な学びにつながります。オンラインツールを活用し海外拠点のスタッフと直接対話する機会を設けることで、より実践的な学習効果が期待できます。

研修効果を最大化する測定・評価手法と運用のポイント

研修効果を最大化する測定・評価手法と運用のポイント

研修効果を最大化するためには、以下のような測定・評価手法と運用のポイントを押さえることが重要です。

  • 投資対効果を可視化するROI測定の進め方
  • 行動変容を促す効果測定の手法
  • データ分析で実現する研修PDCAサイクル

これらの手法を活用することで、研修成果を確実に可視化し、改善サイクルを回すことができるでしょう。

投資対効果を可視化するROI測定の進め方

研修のROI(投資対効果)を適切に測定することで、研修施策の有効性を客観的に評価できます。

ROIの算出には、以下のステップで体系的に進めることが重要です。

  • 研修前の現状把握:受講者の業務スキル評価、業績数値、行動特性を記録
  • 研修実施後の変化測定:スキル向上度、業績改善率、行動変容度を定量化
  • 投資対効果の算出:研修コスト総額と効果(売上増加額など)を比較し、ROIを算定
  • 多角的な効果検証:受講者アンケート、上司評価、同僚評価などの定性データも併用

測定結果は次期の研修計画に反映させ、継続的な改善を図ることが大切です。特に、業績向上に直結する指標の改善が見られた研修プログラムは、投資効果が高いと判断できます。

評価指標の設定には、組織の目標や研修の狙いに沿った具体的なKPIを選定します。数値化が難しい項目は5段階評価などの定量的な基準を設けることで、客観的な測定が可能になります。

行動変容を促す効果測定の手法

研修効果を行動レベルで測定するには、具体的な評価指標と継続的なモニタリングの仕組みが重要です。

効果的な測定を実現するため、以下の3つの手法を組み合わせて実施することをおすすめします。

測定手法具体的な実施方法
360度評価上司・同僚・部下による多角的な行動観察で、対象者の変化を定量的に評価
コンピテンシー評価研修内容に基づく行動指標を設定し、実践度を5段階でスコアリング
実務適用度測定1on1面談や業務日報から、学んだスキルの活用状況を追跡

これらの測定は研修前の基準値測定から開始し、研修後3ヶ月、6ヶ月といった間隔で定期的に実施します。測定結果は受講者本人にフィードバックし改善点の気づきを促すことで、さらなる行動変容へとつなげていきましょう。

また、評価者間での基準のばらつきを防ぐため、評価者研修の実施や評価基準を明確にすることも重要なポイントです。

データ分析で実現する研修PDCAサイクル

研修効果を最大化するには、データに基づいたPDCAサイクルの確立が重要です。研修の前後で具体的な数値を測定・分析し、効果検証と改善を継続的に行うことで、投資対効果の高い人材育成が実現できます。

効果的なPDCAサイクルを回すために、以下の3つの要素を整備することをおすすめします。

  • 測定指標の設定:業務KPI、スキルチェック結果、360度評価など、複数の定量的・定性的指標を組み合わせて設定する
  • データ収集の仕組み:受講者アンケート、上司評価、行動観察記録などを体系的に収集できる仕組みを構築する
  • 分析・改善プロセス:収集したデータを分析し、カリキュラムや実施方法の改善点を特定して次期計画に反映する

研修効果を単発で測るのではなく、継続的なモニタリングを行うことが重要です。研修管理システムを活用し、受講者の理解度や行動変容を定期的に追跡することで、より実効性の高い改善サイクルを実現できます。

データ分析結果は、次回以降の研修設計にも活用できます。受講者の反応が良かったプログラムの要素を取り入れたり、理解度の低かった項目の説明方法を見直したりすることで、研修の質を段階的に向上させることができるでしょう。

自律的な学習と持続的な成長を実現するフォローアップ術

自律的な学習と持続的な成長を実現するには、以下のようなフォローアップ術が効果的です。

  • 研修での学びを定着させる仕組みづくり
  • 学び続ける組織を作る職場環境の整備
  • 自走する人材を育てるフィードバック手法

これらの取り組みにより、個人の成長だけでなく、組織全体の学習力向上を図ることができます。継続的なフォローアップと学びの共有を推進し、持続的な成長のサイクルを確立しましょう。

研修での学びを定着させる仕組みづくり

研修で得た知識やスキルを確実に定着させるには、実践的な仕組みづくりが不可欠です。研修直後から計画的なフォローアップを行うことで、学びを業務に活かせる環境を整えましょう。

研修内容の定着には、具体的な実践課題の設定が効果的です。上司やメンターと相談しながら業務に即した課題を設定し、定期的なフィードバックを通じて改善を図ります。

また、定期的なモニタリングを通じて研修で学んだことの実践状況を確認しましょう。モニタリングしたい項目と実施頻度は以下のとおりです。

モニタリング項目実施頻度
振り返りミーティング月1回
アクションプラン確認週1回
ピアレビュー月2回

進捗状況や課題を共有し、必要に応じて目標や実践方法の見直しを行うことで、着実な成長を支援できます。

学び続ける組織を作る職場環境の整備

学び続ける組織の実現には、従業員が自由に学べる環境と、その学びを共有できる仕組みが不可欠です。多くの先進企業では、業務時間の一定割合を自己啓発に充てる制度を導入しています。

社内SNSと学習管理システムを連携させることで、部署の垣根を越えた知識共有が活発になります。従業員同士が気軽に質問や情報交換できる場を設けることで、組織全体の学習効果が高まるでしょう。

制度名内容
自己啓発時間制度週の業務時間の15%を学習に充当可能
オンライン学習制度1000以上の講座から自由に選択可能
ナレッジ共有制度学びの成果を社内SNSで共有し評価

このような制度を整備することで、従業員は必要な知識やスキルを主体的に学ぶことができます。さらに、その学びを組織全体で共有し活用する文化が根付いていきます。

自走する人材を育てるフィードバック手法

効果的なフィードバックは、部下の自律的な成長を促す重要な要素です。上司からの一方的な指導ではなく、対話を通じて部下自身が気づきを得られるよう導くことが大切です。

効果的なフィードバックの3つのポイントは以下のとおりです。

具体的な事実に基づく「〇月〇日のプレゼンでは、データの裏付けがあり説得力があった」など、具体的な状況と行動を示す。
内省を促す質問をする「その時どう感じましたか?」「次回はどうしたいですか?」など、振り返りと気づきを引き出す。
承認と課題提起のバランスをとる良い点を認めた上で、「さらによくするためには?」と建設的な対話を進める。

部下との1on1では、まず相手の話をじっくり聴くことから始めましょう。その上で具体的な事実に基づいてフィードバックを行い、「どうしたらもっとよくなると思う?」といった問いかけで自身で解決策を考えるプロセスをサポートします。

このような対話を通じて、部下は自分で考え行動する力を養い、徐々に上司の支援がなくても成長できる「自走する人材」へと成長していきます。

まとめ

本記事では、効果的な人材育成研修の設計と実施に関する包括的なガイドを提供しました。 最後に、記事の内容をおさらいしておきましょう。

・人材育成研修設計の4つのポイントは、経営戦略との連動、成長ステージに応じた計画、課題解決ニーズの洗い出し、教育体系の可視化。
・ROI測定、行動変容の効果測定、データ分析によるPDCAサイクルの確立で研修効果を最大化できる。
・学びの定着を促す仕組み作り、学習を促進する職場環境の整備、自走する人材を育てるフィードバックで自律的学習と持続的成長を支援すると良い。
・これらの要素を組み合わせることで、個人と組織の成長を促進し、効果的な人材育成を実現できる。

人材は企業の成長を支える重要な資産です。本記事で提案した方法論を参考に、自社の状況に合わせた人材育成研修を設計・実施し、社員一人ひとりの成長を後押ししていきましょう。

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この記事を書いた人

研修メディア監修者・廣瀬哲人

当メディアの監修者:廣瀬哲人
株式会社ENロジカルの代表取締役として、企業研修・Eラーニングの開発や提供を行っています。京都大学在学中に、脳科学についての研究を行っており、現在ではAI(人工知能)技術のビジネス活用など、デジタル技術に精通した専門家として、ChatGPTなど生成AIの活用やDX人材の育成に関する企業研修・セミナー・講演講師を務めております。
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