企業には、法人として守るべき法令・社会的ルールが多数あります。それが「コンプライアンス」です。
コンプライアンスの遵守は結果としてコーポレートブランディングにも繋がっているため、単なる社内統制のためだけでなく、企業としての価値に繋がる重要な項目です。
今回は、企業にとっては欠かせないコンプライアンスに関する研修について解説していきます。
人事-研修担当者300名へのアンケート調査
コンプライアンスとは?
コンプライアンスとは、企業が法令や社会規範を遵守することを意味します。企業にとってのコンプライアンスとは、法令違反や不正行為を防ぐために必要な社内体制などを指すことが多いです。
コンプライアンス遵守のための具体的な取組としては、行動規範の策定や教育、監査などの仕組みづくりが挙げられます。コンプライアンスは単に形式的な法令順守ではなく、企業の社会的責任を果たす上で欠かせない要素です。
企業としてのCSRを実践するには、社員一人ひとりのコンプライアンス意識の向上が重要となります。
コンプライアンス研修の本質的な目的とは?
一般的なコンプライアンス研修では、法令遵守の重要性と企業の方針を社員に周知徹底し、理解を深めて実践する力を身に付けることなどを内容としています。その場合、研修を通じてコンプライアンスに関する正しい知識を学び、法令や業務プロセスを遵守する上での判断力を養成することが一般的なコンプライアンス研修の目的です。
しかし、ヒューマンアカデミーのコンプライアンス研修は、所謂、法令の解釈や理解を深めるものではありません。コンプライアンス研修を通して、社会的要請への対応、組織風土、従業員の会社へのロイヤリティと言った視点へ広げる研修です。そこから管理職の組織マネジメントと関連させ、不祥事を生まない組織風土の醸成への意識付け、管理職としての責任を再確認できる内容の研修となっています。
ヒューマンアカデミーでは、コンプライアンス研修を単なる座学とせず、自組織を振り返り組織マネジメントに活かすことができる本質的な内容の研修です。
コンプライアンス研修の必要性
コンプライアンス研修は、企業にとって極めて重要で必要不可欠なものです。コンプライアンス違反は企業の社会的信用を失墜させたり、場合によっては取引先を失うなどのリスクに繋がるため、法令遵守の意識を社員に定着させることは非常に重要です。
一人ひとりの社員の意識と行動が企業のコンプライアンスを左右するため、全社的な研修の実施が求められるのです。コンプライアンス研修に投資することは、企業にとって社会的責任を果たす上で避けて通れない課題ともいえます。
コンプライアンス研修はあらゆる年次を対象にする企業が多数
ヒューマンアカデミーが人事・研修担当者300名に実施したアンケート調査では、コンプラ・ハラスメント研修を実施する企業は約45%と半数近い結果となりました。
- 1位:コミュニケーション研修(62%)
- 2位:伝え方の研修(52%)
- 3位:リーダー研修(51%)
- 4位:コンプラ・ハラスメント研修(45%)
- 5位:考え方の研修(43%)
また、コンプラ・ハラスメント研修を実施する企業において、当てはまる対象者を調査した結果は以下の通りです。
- 新入社員:72%
- 若手社員:79%
- 中堅社員:81%
- 管理職:77%
コンプラ・ハラスメント研修はあらゆる階層の社員が対象になっており、コンプライアンス遵守の必要性が高まる現代において、コンプラ・ハラスメント研修に積極的に取り組む企業が多いことが伺えます。
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企業におけるコンプライアンス違反の例
企業におけるコンプライアンス違反の主な例として、以下5つがあげられます。
- 個人情報の不正利用|顧客情報の私的利用による信頼失墜のリスク
- 労働法違反|労働基準法違反による従業員の健康と権利の侵害
- ハラスメント|職場での嫌がらせが企業イメージを大きく低下させる問題
- 不正会計|財務報告の虚偽表示が信頼と法的リスクを招く行為
- 品質偽装|消費者を欺く行為が企業存続に影響を及ぼすリスク
企業におけるコンプライアンス違反は、信頼の喪失や法的リスク、企業存続への悪影響を引き起こす重大な問題です。個人情報の不正利用や労働法違反、ハラスメント、不正会計、品質偽装といった事例はいずれも企業の社会的責任を損ない、顧客や取引先、従業員からの信頼を失う要因となります。
これらの違反を防ぐためには、従業員への教育や内部統制システムの整備、適切な管理体制の構築が不可欠です。また、法令遵守だけでなく、倫理的な行動を全従業員が意識し、企業全体でコンプライアンス意識を高めることが求められます。
コンプライアンス研修の内容は?主なテーマ
企業にとって、コンプライアンス研修は非常に重要です。法令遵守や倫理的な行動を徹底することで、企業の信頼性を高め、社会的責任を果たすことができます。また、コンプライアンス違反によるリスクを未然に防ぐことにもつながるでしょう。
ここでは、コンプライアンス研修の主なテーマについて解説します。
法律・法令遵守
コンプライアンス研修では、労働法や個人情報保護法、著作権法など、業務に関連する法律の基本知識を身につけます。法改正にも注意を払い、常に最新の法令情報を従業員に周知する必要があるためです。
法律・法令遵守は、企業活動の基盤となる重要なテーマと言えるでしょう。違反があった場合の罰則や社会的影響についても理解を深め、コンプライアンス意識を高めることが求められます。
ハラスメント防止
セクシャルハラスメントやパワーハラスメント、マタニティハラスメントなど、職場で起こりうる様々なハラスメントについて学ぶことも大切です。具体的な事例を用いて、どのような行為がハラスメントに当たるのか、そしてハラスメントが発生した場合の対処方法を理解します。
また、加害者だけでなく傍観者の責任についても触れ、ハラスメントのない健全な職場環境を作る意識を醸成しましょう。
情報セキュリティ
個人情報や機密情報の適切な取り扱い方法、サイバーセキュリティの基本も、コンプライアンス研修の重要なテーマです。
特に近年は、リモートワークの増加に伴い、自宅での情報管理についても注意喚起が必要となっています。情報漏洩は企業の信頼を大きく損ねる可能性があるため、徹底した教育が求められます。
パスワード管理やメールの取り扱い、SNSでの情報発信など、具体的な場面を想定した研修内容が効果的でしょう。
SNSの適切な利用
個人のソーシャルメディア利用が、会社に影響を与える可能性があることを従業員に理解させることも重要です。不適切な投稿によって炎上リスクが発生したり、機密情報が漏洩したりする危険性について学ぶ必要があります。
そのため、SNSの適切な利用方法を身につけさせることが大切です。また、会社の評判を守るためにも、従業員一人ひとりがSNSの影響力を認識し責任ある行動をとることの重要性を伝えましょう。
企業倫理・社会的責任
法令遵守だけでなく、企業の社会的責任(CSR)や倫理的な行動の重要性もコンプライアンス研修で取り上げるべきテーマです。持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みなど、現代の企業に求められる社会的役割についての理解を深めさせることが求められます。
環境保護や人権尊重、ダイバーシティの推進など、幅広い観点から企業倫理を学ぶ機会を提供し、従業員一人ひとりが社会的責任を自覚できるようにしましょう。
コンプライアンス研修の効果
コンプライアンス研修を実施することで期待できる効果は大きく3つあります。
①企業の社会的信用に繋がる
コンプライアンス研修により、社員のコンプライアンス意識が高まり、法令遵守が徹底されることで、結果として企業の社会的信用を守り、アピールすることに繋がります。これをレピュテーション・マネジメントともいい、企業ブランドのイメージを維持・向上させる重要な活動です。
②コンプライアンス違反による損失を防ぐ
社員の意識の向上により、言動におけるコンプライアンスリスクを未然に回避できるようになります。違反行為の芽は早期に摘み取ることが可能となります。
③企業風土の改善
企業倫理の共有が進み、法令だけでなく高い倫理観を持って仕事を遂行する組織文化が醸成されます。コンプライアンスにおけるグレーゾーンの判断能力を身につけた社員が生まれることで、社内の模範となり、主体的な取り組みが周囲にも派生することが期待できるでしょう。
このように、コンプライアンス研修は、個人の意識と組織の風土の両面に好影響を与える効果が期待できます。継続的な取り組みが重要です。
コンプライアンス研修のカリキュラム例
先述の通り、ヒューマンアカデミーのコンプライアンス研修は、コンプライアンス研修を単なる座学ではなく、より本質的な目的を理解した上で、コンプライアンス遵守について身に付けるため、基本的には「一般職向け」と「管理職向け」のコンプライアンス研修を行います。
【一般職向け】コンプライアンス研修の目的
- そもそもコンプライアンスとは何かを理解する。
- ハラスメント(セクハラ、パワハラ)を、事例やリスクを含めて理解する。
- ハラスメントが発生する環境(組織や行為者の特徴等)を理解する。
- ハラスメントを防止するための取り組みを理解し、それに寄与することができる人材となるための最低限の知識を得る。
一般職向けのコンプライアンス研修例
【管理職向け】ヒューマンアカデミーのコンプライアンス研修の目的
- そもそもコンプライアンスとは何かを理解する。
- ハラスメント(セクハラ、パワハラ)を、事例やリスクを含めて理解する。
- ハラスメントが発生する環境(組織や行為者の特徴等)を理解する。
- ハラスメントを防止するための取り組みを理解し、それに寄与することができる人材となるための最低限の知識を得る。
- 管理職としてハラスメントと言われずどのように接していけばいいのかを理解する。
期待される効果
- 社員一人ひとりの行動により形成される、企業の評判(レピュテーション)についての理解が深まり、社員が誇れる組織になる
- コーポレート・レピュテーション(会社の評判)レピュテーション・マネジメント(会社の評判管理)を意識して行動 できるようになる
企業様の課題に応じて、研修内容のカスタマイズや組み合わせも可能です。コンプライアンス研修など、研修の実施をご検討の方はぜひご相談ください。
コンプライアンス研修のポイント
コンプライアンス研修のポイントは、法令遵守の重要性や企業方針の理解のみならず、グレーゾーンの認識力やジレンマを解決する実践力を養成することです。
単なる知識の注入に留まらず、ケースメソッドなどを取り入れ、社員自身が主体的に考える場を設けることが大切です。また、社員の役職や業務内容に応じた適切なカリキュラムを設定する必要があります。
継続的な研修によって知識の更新と意識の維持を図るため、定期的なフォローアップも重要なポイントです。
コンプライアンス研修でよくある質問
Q1. なぜコンプライアンス研修が必要なのですか?
A1. 企業が法令を順守し、社会的責任を果たすためには、従業員一人ひとりがコンプライアンスの重要性を理解することが不可欠です。研修を通じて意識向上を図り、不正行為のリスクを未然に防ぐことができます。
Q2. どのようなコンプライアンス違反が起こりうるのでしょうか?
A2. 汚職・贈収賄、インサイダー取引、カルテル、個人情報漏洩、セクシャルハラスメント、パワーハラスメントなど、企業が関与する可能性のある違反行為は多岐にわたります。具体的な事例を学ぶことで、違反への理解を深められます。
Q3. 役職や部署によって、研修内容は異なるのでしょうか?
A3. はい、一般的にリスクの高い役職や部署ほど、より詳細な研修を行う必要があります。例えば営業部門では贈収賄リスクが高いので、その点を重点的に扱うなど、対象者に応じたカスタマイズが求められます。
Q4. 研修の効果を高めるにはどうすればよいですか?
A4. eラーニングなどの一方向の講義スタイルだけでなく、ディスカッションやケーススタディを取り入れ、能動的な学習を促すことが重要です。また、定期的な受講と内容の見直しを行い、継続的な意識啓発に努める必要があります。
Q5. コンプライアンス違反が発覚した場合の対処法は?
A5. コンプライアンス違反には厳正に対処する必要があります。発覚時の報告ルート、事実関係の調査プロセス、再発防止への取り組み、処分の判断基準などを研修でしっかりと学ばせることが大切です。
コンプライアンス研修でお困りですか?
コンプライアンスを遵守し、企業のレピュテーション・マネジメントに繋げるためには過去の事例などを通して自組織を振り返る実践的な内容の研修が必要です。
コンプライアンスの遵守は組織が拡大するほど難易度が高まるものですので、組織のマネジメントに組み込むためにも、各階層に対して定期的な研修の実施が重要であると考えています。
社員への意識を向上し、より良い企業活動に繋げるためにも、ヒューマンアカデミーのコンプライアンス研修をご検討ください。