デジタルトランスフォーメーション(DX)の浸透により、ビジネス環境は急速に変化しています。企業ではDX時代に対応した新たな人材が求められており、社員のスキルアップは喫緊の課題です。
DX人材育成とは、デジタルリテラシーを高め、DXマインドセットを持った人材を組織内で育む取り組みのことを指します。DX人材の育成なくしてDXの成功は難しいといっても過言ではないでしょう。企業のDX戦略を推進するうえで、必要不可欠なDX人材育成について解説していきます。
人事-研修担当者300名へのアンケート調査
DX人材とは
DX人材とは、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していくために必要な人材です。DX人材には、最新のデジタル技術を活用できるスキルはもちろん、ビジネス課題を発見し解決する力が求められます。
DX人材にはマーケター、データサイエンティスト、UXデザイナー、アジャイル開発者など、多様な職種の人材が含まれます。共通点は論理的思考力、データ分析力、顧客志向のマインドセットを持っていることです。DX人材を採用・育成することが、企業のDXを成功に導く鍵となります。
DX人材育成のメリット
DX人材を自社で育成するメリットは大きいといえます。まず、自社の人材ならば、ビジネスの現場を熟知しているため業務に即したDXが実現できます。
社内の受容性が高まることもメリットです。突然入社した外部人材がDXを推進するよりも、既に関係値のある社内人材がDXを推進することで、従業員の理解と協力が得られやすくなります。それにより、社内のリソースも最大限に活用でき、スムーズにDXを推進しやすくなります。
最後に、コスト面のメリットも無視できません。外部人材の採用コストや委託手数料と比べると、自社人材の場合は既存の人件費の範囲で育成が可能です。DX推進のコストを抑えられるのは大きな強みといえます。
DX人材育成の難しさ
一方で、DX人材育成には難しさもあります。まず育成方針が不明確な場合が多いです。DX戦略に基づいて必要な人材像を明確にすることが重要です。
次に、育成方法が分からず、学習効果が上がらないことも課題です。単に知識を教えるだけでなく、DXマインドの醸成が必要不可欠ですが、スキルの習得に集中しすぎて失敗するケースもあるといいます。さらに、育成した人材を業務に活かせないことも悩みの種となり得ます。実践を伴ったOJTが欠かせません。
DX研修の必要性を感じるものの、実施できていない企業が大半
【画像引用】https://biz.athuman.com/news/detail/125.php
ヒューマンアカデミーが人事・研修担当者300名に行った調査では、「IT・DX研修の必要性を感じるものの、課題は山積」という結果が見られました。
具体的には、全体のうち「IT・DX研修が充実している」との回答は9%にとどまり、「IT・DX研修をしているものの、まだ不十分」が17%、「IT・DX研修をしていないが、必要性を感じている」が60%と大半を占めました。
企業においては、DX研修の必要性を感じているものの、実際に取り組めていない状態であることが多く、これから自社に必要なIT・DXスキルを見定めるところから行う必要があるようです。
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DX人材が育った後の設計も重要
DX人材として専門性を得られても、報酬やポジションが据え置き、もしくは微増程度であれば、社内DXを推進するメリットを感じられずに離職する可能性が高まります。DXスキルを兼ね備えた人材は、どの企業も欲していますので、自社がそれに見合うインセンティブを提示できなければ、他の企業への転職を考えるのも無理はありません。
DX人材を育成することも簡単ではありませんが、育成後のキャリアパスの提示も同じくらい難しく、重要なのです。
DX人材育成のステップ
DX人材育成のプロセスは、大きく以下の4つのステップがあります。
- 目的・人材要件の策定: DX戦略に基づき必要な人材を明確化
- 育成計画の立案: 知識習得と実践力向上を図る研修・OJTを設計
- 育成対象者の選定: 適性や意欲を考慮し育成メンバーを選ぶ
- 育成の実行と評価: 育成をPDCAサイクルで回してブラッシュアップ
こうしたステップを踏むことで、戦略的なDX人材育成が可能となります。
1:目的・人材要件の策定
DXの目的と、それを達成するために必要な人材像を明確化します。DX推進部署と人事部が連携して、育成対象となる人材の備えるべきスキルや資質を特定します。
2:育成計画の立案
知識習得のための研修と、実践力向上のためのOJTをバランスよく組み合わせた育成計画を立案します。外部資源も活用しながら、効果的な育成プログラムを設計します。
3:育成対象者の選定
育成したい人材像と現状の社員とのギャップを分析し、育成対象者を選定します。適性や意欲を考慮し、育成後に活躍できる人材に絞り込みます。
4:育成の実行と評価
計画に基づき実際の育成を実行します。育成後は効果測定を行い、PDCAサイクルで改善を繰り返します。育成全体を通じて適切なフォローアップを行います。
DX人材育成のポイント
DX人材育成を成功には様々な要因がありますが、特に重要な3つのポイントについて解説します。
経営陣のコミットメント
経営陣のコミットメントでは、CXO層がDXの重要性を繰り返し発信し、育成への協力を社内に求めることが大切です。育成方針を明確化し、必要なリソースを割り当てることも重要な役割です。
実践を伴うOJTの実施
理論や知識だけでなく、研修で学んだ内容を実際の業務で試行する機会を提供することが重要です。小規模なDXプロジェクトをOJTとして運用するのが効果的です。
育成後の活躍機会の提供
学んだ内容を業務で活かせるよう、環境を整備することが重要です。OJTで成功体験を積んだ人材を大きなDXプロジェクトの責任者やメンバーとして起用することが大切です。活躍できる場を提供することで、育成に意味を持たせ、効果を最大化するための土台となります。
加えて、育成後の評価と改善も継続的に行っていくことが成果を高める鍵となります。DX人材育成は一過性のものではなく、戦略的な仕組みとして確立する必要があるといえるでしょう。
DX人材育成のプログラム例
組織の中でDXを推進していくためのマネジメントやマーケティングといったビジネス領域のスキルも重要です。特にDXによるプロダクトの革新には経営の可視化が重要であり、そのための様々なビジネス手法を身に付ける必要があります。
ですので、DX研修のプログラムでは、DX・IT領域とビジネス領域をバランスよく構成していく必要があるため企業研修を実施していくには2軸の専門性が必要となるでしょう。
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