企業でエンゲージメントが重要な理由。意味や高めるメリット・方法について解説

人材の流動性が高まり、優秀な人材の確保が企業にとって重要な課題となっている昨今、従業員のエンゲージメントが改めて注目されています。

この記事では、ビジネスにおけるエンゲージメントの意味や、エンゲージメントを高めるメリットや方法について解説していきます。

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エンゲージメントとは

エンゲージメントとは、従業員が会社や仕事に対して強い愛着や誇りを持ち、高い意欲を維持し続ける状態を指します。単に満足しているだけでなく、会社の目標や価値観を理解し、自発的に貢献しようとする姿勢を持つことが求められるのです。このようなエンゲージメントの高い従業員は、生産性が高く、長期的にも活躍が期待できます。

一方、エンゲージメントが低ければ、業務に対する熱意が失われ、パフォーマンスの低下や離職につながりかねません。優秀な人材の流出は、企業の競争力を大きく損なう恐れがあります。そのため、人材確保が難しい環境下では、既存の優秀な人材のエンゲージメントを高め、定着を図ることがより一層重要視されているのです。

社員のエンゲージメントを高めるメリット

社員のエンゲージメントを高めることには、生産性の向上や組織の活性化など、様々なメリットがあります。エンゲージメントの高い社員は、会社への愛着と誇りから、自ら進んで仕事に取り組み、モチベーションを維持し続けられます。そのため、常に最大限の能力を発揮し、高い業績につながるのです。

また、エンゲージメントが高まれば、社員同士のコミュニケーションが活発になり、風通しの良い職場環境が生まれます。アイデアの共有や相乗効果が期待でき、組織全体が一体となって機能することができます。結果として、会社の活力が増し、さらなる発展を後押しするでしょう。

さらに、社員満足度の高さは、優れた商品・サービスの提供にもつながります。エンゲージメントを支える良い企業文化は、顧客からの信頼や好感度の向上、ひいてはブランド価値の向上にも貢献するのです。

その他にもエンゲージメントが高いことによるメリットがいくつかあります。

離職率の低下

エンゲージメントの高い従業員は、会社に対する愛着や帰属意識が強いため、退職を考えにくくなります。これにより、優秀な人材の流出を防ぎ、安定した人員配置が可能となるでしょう。優秀な人材を失わずに済むことは、企業にとって大きな強みとなるはずです。

採用力の強化

エンゲージメントの高い企業では、従業員が会社を誇りに思い、外部に良いイメージを発信することでしょう。そうした従業員の姿勢が伝わり、求職者にとっても魅力的な職場と印象付けられます。結果として、優秀な人材を確保しやすくなり、採用力が高まることが期待できるでしょう。

エンゲージメントを高める方法

社員のエンゲージメントを高めるためには、様々な取り組みが必要となります。まずは現在の状況を正確に把握し、課題を特定することが重要です。その上で、働きやすい職場環境の整備や、適切な人事評価制度、研修制度の構築など、具体的な施策を展開していく必要があります。

特に管理職のマネジメント能力の向上は欠かせません。部下一人ひとりへの適切な指導と承認、モチベーションを高める手法の獲得が求められます。さらに、経営層自らが企業の理念や行動指針を従業員に徹底し、自らも一貫した行動をとることが不可欠です。そうすることで、従業員の帰属意識が高まり、一体感が醸成されるはずです。

このように多角的なアプローチが必要とされますが、エンゲージメントを高めるための最も重要な点は、誠実な取り組みと地道な実践を継続することです。エンゲージメントは一朝一夕には高まらず、長期的な視点とコミットメントが求められるのです。

それぞれのプロセスについて詳しく解説します。

現状把握

エンゲージメントを高める取り組みを始めるにあたり、まず現状を正確に把握することが不可欠です。しかしながら、エンゲージメントは従業員一人ひとりの内面的な状態であり、それを正確に測ることは容易ではありません。

アンケート調査などで一定の指標は得られるものの、単にその数値だけを追うのではなく、背景にある従業員の本音を掴むことが重要です。そのため、管理職や人事担当者による、従業員へのヒアリングやコミュニケーションを密に行う必要があります。

ただし、ここで注意しなければならないのは、エンゲージメントを測ろうとする行為自体が、かえって従業員の警戒心や反発を招き、エンゲージメントを下げてしまう可能性があることです。アンケートや面談を強要的に行えば、従業員は「監視されている」と感じ、会社不信につながりかねません。

そこで大切なのは、エンゲージメントの現状把握を、あくまで従業員の幸福や会社の発展を第一に考えた上で、穏やかかつ誠実に進めることです。具体的には、上司と部下のコミュニケーションを日常的に密にし、信頼関係を構築した上で、エンゲージメントの課題を自然な形で共有していくことが賢明でしょう。

このように、エンゲージメントの正確な実態を把握することは容易ではありませんが、誠意を持って取り組むことで、改善の足掛かりを得ることができるはずです。

職場環境の整備

エンゲージメントを高めるには、従業員が働きやすい環境を整備することが重要です。具体的には、適切な人員配置と労働時間の管理、ワークライフバランスの促進、リフレッシュの機会の提供、コミュニケーションを活発化させる場の設置などが考えられます。

例えば、長時間労働の是正や年次有給休暇の取得促進、在宅勤務制度の導入などにより、プライベートと仕事の両立がしやすくなります。また、社内イベントの開催や親睦を深める機会を設けることで、従業員同士の絆が深まり、働きがいも増すでしょう。加えて、快適な執務スペースの確保や最新の業務支援ツールの導入なども、生産性の向上と労働環境の改善につながります。

ただし、環境整備に当たっては注意が必要です。

過剰な福利厚生は本来の業務に支障をきたす恐れがあります。また、新しいシステムの導入は、一時的に従業員に負荷がかかる可能性もあります。

職場環境の整備や改善については、従業員の本音を汲み取り、総合的に判断する必要があります。

マネジメント手法の改善

エンゲージメントを高めるためには、経営層や管理職のマネジメント手法の改善が欠かせません。なぜなら、上司と部下の関係が、従業員のモチベーションや帰属意識に大きな影響を与えるからです。

まずは、管理職自身がエンゲージメントの重要性を理解し、部下一人ひとりの働きぶりに関心を払う姿勢が不可欠です。日々の業務を通じて、部下の長所や興味関心を把握し、適切な指導やフィードバックを行うことが求められます。厳しい叱責よりも、承認と共感を示す対話スタイルが有効でしょう。

また、公平な評価制度を構築し、従業員の貢献を適切に認め、報いることも重要です。昇進や報酬だけでなく、研修の機会の提供など、スキルアップのサポートにも注力すべきです。部下の成長を後押しすることで、やりがいや誇りを持たせられるはずです。

MVVの発信と一貫した行動

エンゲージメントを高めるうえで重要なのが、企業のミッション(Mission)、ビジョン(Vision)、バリュー(Values)、すなわちMVVの明確化と、経営陣を先頭とした一貫した行動です。

まず、経営陣は企業が目指す目的やありたい姿、重んじる価値観をしっかりと定義し、従業員に分かりやすく発信する必要があります。理念やビジョンが曖昧であれば、従業員は会社の方向性を捉えられず、モチベーションが維持できません。

一方で、MVVをきちんと示しても、経営陣の言動がそれと懸け離れていては、従業員は会社を信用できなくなってしまいます。経営陣は常に理念に沿った判断と行動を心がけ、そうした姿勢を率先して示さなければなりません。

まとめ

エンゲージメントとは、従業員が会社や仕事に対して主体的にコミットし、熱意を持って取り組む心理状態を指します。単に従業員が満足しているだけでなく、会社の目標実現に向けて自発的に行動する姿勢があることが重要です。

エンゲージメントが高まれば、従業員の生産性が向上し、優秀な人材の定着が図れ、ひいては会社の競争力の源泉となります。また、従業員同士のコミュニケーションが活発になり、新しいアイデアが生まれやすくなるでしょう。さらに、エンゲージメントを支える良い企業文化は、顧客からの信頼や好感度の向上にもつながり、ブランド価値の向上が期待できます。

しかし、エンゲージメントを高めることは容易ではありません。経営陣のリーダーシップと、従業員一人ひとりの状況を踏まえた多角的なアプローチが不可欠です。ただし、エンゲージメントを高めることは目的ではなく、あくまでも手段に過ぎません。本来の目的は、組織が長期的な視点で存続し、社会に対して価値を提供し続けることにあります。

つまり、エンゲージメントを高める取り組みは、一過性のキャンペーンで終わらせるのではなく、経営理念の実現と一体となって、持続的に行われるべきなのです。エンゲージメントは人々が幸せを感じる健全な組織風土の表れでもあり、企業と社会の好循環を生み出す原動力となり得るのです。

この記事を書いた人

ヒューマンアカデミー企業研修編集部

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