OKR(Objectives and Key Results)は、組織の目標達成を支援する目標管理フレームワークとして注目されています。
しかし、以下のような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
・OKRの特徴や導入メリットが知りたい
・OKRと他の目標管理手法との違いが気になる
・OKRを導入する際の具体的な準備や実施方法を知りたい
本記事では、OKRの概要や特徴、他の目標管理手法との比較、導入の準備や実施方法について詳しく解説します。
OKRに関する基本的な知識から実践的なノウハウまで網羅していますので、ぜひ最後までご一読ください。
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OKR(Objectives and Key Results)とは?導入するメリット
OKRとは、目標(Objectives)と重要な成果(Key Results)の二つの要素から成る目標設定の枠組みです。
目標(Objectives)は達成したい具体的な到達点を示し、重要な成果はその達成度を測るための具体的な指標となります。
従来の目標管理手法では、目標自体の設定に重点が置かれることが多かった一方で、OKRでは目標達成に向けた具体的な活動指標も含まれるため、成果を客観的に評価しやすくなります。
これにより、組織全体が一体となって目標に向かいやすくなり、生産性や業績の向上が期待できます。
OKRが重要とされる背景
現代のビジネス環境は急速に変化しており、企業は柔軟かつ迅速な対応が求められています。グローバル化や技術革新により競争が激化する中で、組織全体の目標を明確にし、各メンバーが自律的に動くことの重要性が高まっています。
従来の目標管理手法では、このような状況に対応しきれない場合が多くありました。しかしOKRは透明性と連携を高めることで、組織の柔軟性と効率性を向上させる手段として注目されています。
OKRの基本要素と特徴

OKRは、組織の目標達成を支援するための明確な枠組みを提供します。基本要素である目標(Objectives)と重要成果指標(Key Results)はそれぞれ組織の意欲を高め、具体的な成果を測定する役割を果たします。
以下では、OKRの基本要素とその特徴について詳しく解説します。
Objectives(目標)|意欲や動機を高めるための設定
目標(Objectives)は、組織やチームが達成したい具体的な到達点を示します。挑戦的でありながら達成可能な目標(Objectives)を設定することで、メンバーの意欲や動機を高めます。明確な目標(Objectives)は、全員が共通のビジョンを持ち一体感を持って取り組む基盤となります。
また、目標(Objectives)は定性的であり、組織の方向性を示す重要な指標となります。
Key Results(重要成果指標)|具体的な成果測定の仕組み
重要成果指標(Key Results)は、目標(Objectives)の達成度を具体的かつ測定可能に評価するための指標です。定量的な数値で設定されることが多く、進捗状況を明確に把握することができます。
これにより、目標(Objectives)に向けた具体的なアクションプランを策定し、効果的な成果の達成を促進します。
また、重要成果指標(Key Results)は定期的に見直すことで柔軟な対応が可能となり、組織の目標(Objectives)達成を支援します。
OKRと他目標・評価指標の違い
OKRと混合されやすい目標・評価指標として「MBO」と「KPI」があります。
ここではそれぞれの特徴とOKRとの違いについて解説します。
MBO(Management By Objectives:目標管理制度)との違い
OKRとよく比較されるのが、MBO(目標管理制度)です。MBOでは従業員自らが目標を設定し、上長による指導・支援を受けながら目標達成に取り組む仕組みとなっています。
一方のOKRでは、経営層が会社の戦略目標を設定し、その目標に向けた活動指標を個人やチームに展開していく、いわばトップダウンの発想が基本となります。
MBOが従業員の自主性に重きを置くのに対し、OKRでは組織の目標と活動の連携が重視されている点が違いです。
内部リンク:mboとは
KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)との違い
OKRでは目標達成の活動指標として重要成果指標(Key Results)が設定されますが、これはKPI(重要業績評価指標)とよく似た概念です。
ただし、KPIは業務活動の遂行状況を測る指標であり、目標そのものを示すものではありません。
一方、OKRにおける重要成果指標(Key Results)は、目標の実現に向けた具体的な成果物です。つまり、指標ではあるものの、課題やゴールに直結した活動の結果を指すものと言えるでしょう。
このようにKPIと重要成果指標(Key Results)は似て非なる概念であり、OKRの策定にはKPIも参考にしつつ、その先の成果につながる指標を設定する必要があります。
OKR導入前にやっておきたい3つの準備

OKRを効果的に導入するためには、事前の準備が欠かせません。組織全体での理解と協力を得るために、以下の3つの準備を行うことが重要です。
- 社内での導入意義・メリットの共有
- 導入プロジェクトリーダー・推進チームの編成
- リソース・スケジュールの設定
これらの準備を通じて、スムーズな導入と成功を目指しましょう。
社内での導入意義・メリットの共有
OKRの導入にあたり、まず社内でその意義とメリットを共有することが重要です。全員がOKRの目的や期待される効果を理解することで、導入への協力体制が整います。
具体的には、OKRが組織の目標達成にどのように寄与するかを説明し、個々の役割が明確になることを強調します。また、成功事例を紹介することで、実際の効果をイメージしやすくします。
これにより、社員のモチベーションが向上し、積極的な参加が促されます。
導入プロジェクトリーダー・推進チームの編成
OKRの導入を成功させるためには、専任のプロジェクトリーダーや推進チームを編成することが必要です。
リーダーはOKRの知識と経験を持ったメンバーを選出し、導入プロセスを統括します。推進チームは各部門からメンバーを選出し、コミュニケーションの橋渡し役を担います。
チーム内で役割を明確にし、定期的なミーティングを通じて進捗を管理することで、導入が計画通りに進行します。また、リーダーとチームは社員からの質問やフィードバックに迅速に対応し、導入過程を円滑に進める役割を果たします。
リソース・スケジュールの設定
OKRを効果的に導入するためには、必要なリソースと具体的なスケジュールを設定することが不可欠です。まず、導入に必要な人材やツール、予算を明確にし、確保します。
次に、導入の各ステップに対して現実的なタイムラインを設定し、進行状況を定期的にレビューします。スケジュールには、初期研修やワークショップ、定期的な進捗確認のためのミーティングなどを含めます。
これにより、導入プロセスが計画的に進行し、予期せぬ問題にも迅速に対応できる体制を整えることができます。
OKRの実施方法をステップごとに解説

ここからは、OKRの具体的な実施方法について、説明します。
OKRは、企業の評価制度に関連する可能性があるものですので、簡単に導入できるものではありません。
具体的に導入するとなると、ここに挙げるよりもさらに詳細なステップとなりますが、大枠の流れが理解いただけるよう解説していきます。
ステップ1:OKRの期間と適用範囲の設定
まずはOKRの期間と、適用する組織範囲を決める必要があります。一般的には四半期ごとに設定し直すことが多いですが、事業環境によって異なるでしょう。
また、全社共通のOKRを設定した上で、部門やチーム、個人ごとにOKRを展開することがおすすめです。
ステップ2:目標(Objectives)の設定
次に、経営層が全社およびそれぞれの部門・チームに対する目標(Objectives)を設定します。目標(Objectives)は、具体的で測定可能であり、達成に向けた動機付けになるものを設定しましょう。
ビジョンの実現に向けた意欲的な目標(Objectives)が望ましいです。
ステップ3:重要成果指標(Key Results)の設定
その後、個々の目標(Objectives)に対する重要成果指標(Key Results)を決めていきます。重要成果指標(Key Results)は数値化でき、達成状況が分かるようなものが適しています。
1つの目標(Objectives)に対して3〜5個の重要成果指標(Key Results)を設定するのが理想です。
ステップ4:中間点検と軌道修正
四半期の中間地点で、OKRの進捗をチェックし、必要に応じて重要成果指標(Key Results)の見直しや修正を行います。経営環境の変化に合わせた柔軟な対応が可能です。
ステップ5:期末の評価と次期OKRの設定
期末には、最終的な目標達成度を測定し、次期に向けたOKRを新たに設定します。振り返りを通じて、より良い目標(Objectives)と重要成果指標(Key Results)を立案することが大切です。
このようにPDCAサイクルを意識しながらOKRの運用を行うことで、組織は短期で成果を可視化し、長期的な目標実現に向けて継続的に改善を重ねていくことができるでしょう。
まとめ
本記事では、OKR(Objectives and Key Results)について解説しました。
最後に、記事の内容をおさらいしておきましょう。
- OKRは目標(Objectives)と重要な成果(Key Results)から成る目標設定の枠組みで、急速に変化するビジネス環境に対応するために重要な手法。
- 目標(Objectives)と重要な成果(Key Results)が基本要素となり、達成したい到達点と達成度を測る指標を設定する。
- MBOやKPIとは異なり、トップダウンで具体的な目標実現に重きを置く。
- 導入前の準備として、意義の共有、推進体制の編成、リソースの設定が必要。
- 実施方法は、期間と範囲の設定、目標と指標の設定、中間点検、期末評価の流れで行う。
OKRを導入することで、組織の目標達成や透明性、連携などを促進し、変化の激しい環境下でも柔軟に対応できる体制を整えることができるでしょう。
是非、自社に合ったOKRの運用方法を見出し、目標達成と組織力強化に役立ててください。