OKRとは?変化の激しい環境に強いマネジメント手法である理由を解説

近年、企業経営におけるマネジメント手法として注目を集めているOKRをご存知でしょうか。OKRを活用することで、企業は戦略の実現を加速させ、変化の激しい経営環境にも柔軟に対応できるでしょう。
本記事では、OKRの基本的な考え方から具体的な運用方法などを解説します。

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OKR(Objectives and Key Results)とは

OKRとは、Objectives(目標)と Key Results(重要な成果物)の2つの要素から構成される目標設定の枠組みです。Objectivesが達成したい到達点を表すのに対し、Key Resultsは測定可能な指標となります。従来の目標管理手法では、目標の設定にとどまりがちでしたが、OKRでは目標達成に向けた具体的な活動指標も含まれるため、成果を客観的に把握できるのが特徴と言えます。

OKRのメリット

OKRを導入するメリットは、大きく3つ挙げられます。第一に、個々の貢献度を可視化できる点です。Key Resultsによって目標達成に向けた成果を測ることができ、個人やチームの業績評価が明確になります。第二に、会社全体の戦略と部門や個人の活動を連携させやすいことです。Objectivesを上位から展開することで、上下の階層間での方向性の統一が図れます。第三に、スピーディな改善サイクルが実現できる点が挙げられます。定期的なOKRの見直しを実施することにより、迅速な軌道修正が可能となるでしょう。

MBO(Management By Objectives:目標管理制度)との違い

OKRとよく比較されるのが、MBO(目標管理制度)です。MBOでは従業員自らが目標を設定し、上長による指導・支援を受けながら目標達成に取り組む仕組みとなっています。一方のOKRでは、経営層が会社の戦略目標を設定し、その目標に向けた活動指標を個人やチームに展開していく、いわばトップダウンの発想が基本となります。MBOが従業員の自主性に重きを置くのに対し、OKRでは組織の目標と活動の連携が重視されている違いがあります。

KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)との違い

OKRでは目標達成の活動指標としてKey Resultsが設定されますが、これはKPI(重要業績評価指標)とよく似た概念です。

しかし、KPIは業務活動の遂行状況を測る指標であり、目標そのものを示すものではありません。一方、OKRにおけるKey Resultsは、Objectivesの実現に向けた具体的な成果物です。つまり、指標ではあるものの、課題やゴールに直結した活動の結果を指すものと言えるでしょう。このようにKPIとKey Resultsは似て非なる概念であり、OKRの策定にはKPIも参考にしつつ、その先の成果につながる指標を設定する必要があります。

OKRの実施方法をステップごとに解説

ここからは、OKRの具体的な実施方法について解説しますが、前提として、OKRは、企業の評価制度に関連する可能性があるものですので、簡単に導入できるものではありません。

具体的に導入するとなると、ここに挙げるよりもさらに詳細なステップとなりますが、大枠の流れが理解いただけるよう解説していきます。

ステップ1:OKRの期間と適用範囲の設定

まずはOKRの期間と、適用する組織範囲を決める必要があります。一般的には四半期ごとに設定し直すことが多いですが、事業環境によって異なるでしょう。また、全社共通のOKRを設定した上で、部門やチーム、個人ごとにOKRを展開することがお勧めです。

ステップ2:Objectivesの設定

次に、経営層が全社およびそれぞれの部門・チームに対するObjectives(目標)を設定します。Objectivesでは、具体的で測定可能であり、達成に向けた動機付けになるような目標を立てましょう。ビジョンの実現に向けた意欲的な目標が望ましいと言えます。

ステップ3:Key Resultsの設定

その後、個々のObjectivesに対するKey Results(重要な成果)を決めていきます。Key Resultsは数値化でき、達成状況が分かるようなものが適しています。理想を言えば、1つのObjectiveに対して3〜5個のKey Resultsを設定することが推奨されています。

ステップ4:中間点検と軌道修正

四半期の中間地点で、OKRの進捗をチェックし、必要に応じてKey Resultsの見直しや修正を行います。経営環境の変化に合わせた柔軟な対応が可能です。

ステップ5:期末の評価と次期OKRの設定

期末には、最終的な目標達成度を測定し、次期に向けたOKRを新たに設定します。振り返りを通じて、より良いObjectivesとKey Resultsを立案することが大切です。

このようにPDCAサイクルを意識しながらOKRの運用を行うことで、組織は短期で成果を可視化し、長期的な目標実現に向けて継続的に改善を重ねていくことができるでしょう。

まとめ

OKRは目標とその達成に向けた具体的な活動指標を明確にする枠組みであり、戦略と実行のギャップを埋めるマネジメント手法と言えます。従業員の役割と貢献度の明確化、組織目標と個人の活動連携、迅速な改善サイクルの実現などのメリットがあります。

この記事を書いた人

研修メディア監修者・廣瀬哲人

当メディアの監修者:廣瀬哲人
株式会社ENロジカルの代表取締役として、企業研修・Eラーニングの開発や提供を行っています。京都大学在学中に、脳科学についての研究を行っており、現在ではAI(人工知能)技術のビジネス活用など、デジタル技術に精通した専門家として、ChatGPTなど生成AIの活用やDX人材の育成に関する企業研修・セミナー・講演講師を務めております。
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