企業研修を外部委託するメリットは?具体的な進め方と費用・助成金も解説

企業研修を外部委託することには、多くのメリットがあります。

しかし、以下のように思っている人事担当者も多いのではないでしょうか。

・外部委託のメリットがよくわからない
・委託費用が高そうで予算的に厳しい
・具体的にどのように進めればよいかわからない

結論から言うと、外部委託による企業研修は専門性の高い教育を効率的に実現でき、長期的には費用対効果に優れた選択肢です。

本記事では、企業研修を外部委託することで得られる7つのメリットを詳しく解説します。

委託費用の相場や助成金の活用方法、具体的な進め方のポイントについても触れているので、外部委託を検討中の人事担当者は必見です。

研修の質を高め、社員の成長を加速させるヒントが満載ですので、ぜひ参考にしてください。

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企業研修を外部委託で実施する7つのメリット

企業研修を外部委託で実施することで得られる、以下の7つのメリットを押さえておきましょう。

  1. 専門性の高い最新スキルを効率的に習得できる
  2. 豊富な実績を持つ外部講師の知見を活用できる
  3. 社内リソースと時間を大幅に節約できる
  4. 研修予算の最適化とコスト削減につながる
  5. ニーズに合わせたカスタマイズ研修が実現する
  6. 客観的な視点で研修効果を測定できる
  7. 部門を超えて研修品質を確保できる

これらのメリットを活用することで、組織全体の成長を支援する質の高い研修を効率的に実施できます。委託先との連携により、研修の成果を最大限に引き出しましょう。

1.専門性の高い最新スキルを効率的に習得できる

外部の専門講師による研修では、最新のビジネススキルやデジタル技術を体系的に学ぶことができます。社内のリソースだけでは追いつかない先端的な知識やノウハウを、効率的に習得できる点が大きな特徴です。

各分野のエキスパートが持つ豊富な実務経験と専門知識を活かした研修により、以下のような業界の最新動向や成功事例に基づいた実践的なスキルを身につけることができます。

  • デジタルトランスフォーメーション(DX)やAI活用など、最新技術に関する体系的な知識
  • 業界別の成功事例や失敗事例に基づく実践的なケーススタディ
  • グローバルスタンダードに即した最新のビジネススキル
  • 各分野の第一線で活躍する講師陣による実践的なワークショップ

専門性の高い外部講師による研修は、座学だけでなく実践的なワークショップを通じて、即戦力となるスキルを効果的に習得できます。体系化されたカリキュラムにより、最新トレンドを踏まえた専門知識を短期間で確実に身につけることが可能です。

2.豊富な実績を持つ外部講師の知見を活用できる

企業研修を外部講師に委託することで、複数の企業での豊富な実績に基づいた実践的な知見を得られます。外部講師は様々な業界で研修を実施してきた経験から、成功事例だけでなく失敗事例も含めた具体的なノウハウを提供できます。

外部講師は広範な業界ネットワークを持っているため、自社では得られない異業種のベストプラクティスや革新的な取り組みについても学ぶことができます。これにより、以下のような業界の垣根を超えた新しい視点やアイデアを取り入れることが可能になります。

  • 複数企業での研修経験を活かした具体的な成功・失敗事例の共有
  • 異業種のベストプラクティスや革新的な取り組みの紹介
  • 業界動向や最新トレンドに関する情報提供
  • 組織課題に対する客観的な分析と改善提案

また、社内講師とは異なる客観的な視点から、組織の課題や改善点について専門的なアドバイスを受けられることも大きな利点です。外部の目線だからこそ気づける問題点や、新たな可能性を見出すことができます。

3.社内リソースと時間を大幅に節約できる

研修の企画から実施までを外部の専門機関に委託することで、人事部門の業務負担を大幅に軽減できます。社内で研修を運営する場合、カリキュラムの設計や教材作成、会場の手配など、多岐にわたる実務作業が発生します。

外部委託により、これらの煩雑な業務から解放されることで、人事部門は採用戦略や制度設計といった本来の戦略的業務に注力できるようになります。

以下が、外部委託によって削減できる主な業務内容です。

  • 研修プログラムの企画・設計に関わる情報収集と資料作成
  • 会場予約、機材準備、配布資料の印刷などの実務作業
  • 社内講師の育成・管理、スケジュール調整
  • 研修実施後のアンケート集計や効果測定

特に、社内講師の育成や管理が不要になることで、研修準備のための勤務時間を大幅に削減できます。結果として、人事部門の業務効率化とワークライフバランスの向上にもつながるでしょう。

4.研修予算の最適化とコスト削減につながる

外部委託による企業研修では、研修内容や受講人数に応じて必要な分だけのプランを選択できるため、効率的な予算配分が可能になります。従来の社内研修で発生していた講師の人件費や施設維持費などの固定費を削減できる点も大きな特徴です。

研修効果の測定・分析サービスを活用することで、投資対効果(ROI)を明確に把握できます。これにより、次年度以降の予算配分の最適化にも役立てることができます。

以下が、外部委託による主なコスト削減効果です。

  • 社内講師の人件費および研修準備時間の削減
  • 研修施設・機材の維持管理費の節約
  • 研修資料の作成・印刷コストの削減
  • 受講人数に応じた柔軟な予算調整が可能
  • 効果測定による投資対効果の可視化と改善

さらに、複数の研修プログラムをパッケージ化することで、スケールメリットを活かした価格交渉も可能になります。長期的な視点で見ると質の高い研修を効率的に実施できる外部委託は、コストパフォーマンスに優れた選択肢といえます。

5.ニーズに合わせたカスタマイズ研修が実現する

外部研修会社の豊富な知見とノウハウを活用することで、企業独自のニーズに合わせた研修プログラムの設計が可能になります。業界特性や組織文化を深く理解した上で、最適なカリキュラムを提案してもらえるのが大きな特徴です。

部門や職種によって求められる知識やスキルは異なるため、それぞれの課題に応じた研修内容のカスタマイズが重要になります。外部委託では、以下のような柔軟な対応が可能です。

  • 業界固有の事例や演習を取り入れた実践的なプログラム設計
  • 部門別の目標達成に向けた難易度とゴール設定の最適化
  • 受講者の習熟度に合わせた段階的なカリキュラム構成
  • 組織の価値観や方針を反映したケーススタディの活用

さらに、研修の進行スピードや使用する教材、演習の比重なども、受講者の特性に応じて細かく調整できます。このような柔軟なカスタマイズによって、より効果的な学習環境の構築が実現できるのです。

6.客観的な視点で研修効果を測定できる

外部委託による研修効果の測定では、専門機関による客観的な評価指標と分析手法を活用できます。社内での自己評価では見落としがちな課題も、第三者の視点から明確に把握することが可能です。

評価項目測定方法
スキル習得度研修前後のテスト・評価シート
行動変容360度評価・定期観察
業務パフォーマンスKPI達成度・生産性指標

外部機関は豊富なデータベースを保有しており、他社との比較分析も可能です。業界平均や先進企業とのベンチマーキングを通じて、自社の研修プログラムの改善点を特定できます。

定量的な効果測定により、研修投資対効果(ROI)の算出も容易になります。経営層への説明責任を果たし、より戦略的な人材育成計画の立案にもつながるでしょう。

7.部門を超えて研修品質を確保できる

外部委託機関の標準化された研修プログラムを導入することで部門ごとの研修品質の差を解消し、全社的に一貫した学習機会を提供できます。

社内で研修を実施する場合、部門によって講師の力量や教材の質にばらつきが生じやすい課題がありました。しかし外部委託では、以下の要素で研修の品質を統一的に管理できます。

  • 講師の選定基準と評価指標の標準化による均質な指導レベルの確保
  • 体系的なカリキュラムと教材による一貫した学習内容の提供
  • 全社共通の研修管理システムによる受講履歴と成果の可視化
  • 部門横断的な研修効果の測定と分析が可能

このように外部委託を活用することで、部門の壁を越えた統一的な研修品質を実現できます。結果として、組織全体の底上げと公平な人材育成機会の提供につながります。

また、研修内容や成果を一元管理できることで、全社的な人材育成戦略の立案と実行が容易になるメリットもあります。

企業研修を外部に委託する際の具体的な進め方

企業研修を外部に委託する際の具体的な進め方

企業研修を外部に委託する際には、以下のような具体的な進め方を押さえることが重要です。

  • 研修目的と達成したい成果を明確にする
  • 対象者のニーズ分析と研修テーマの設定を行う
  • 適切な研修委託先を選定する
  • 研修内容の設計からフォローまで計画を立てる

これらのステップを徹底することで、外部委託の研修を効果的に運用し、企業の人材育成目標の達成をサポートできます。計画的な進行管理とフォロー体制が、研修効果を最大化する鍵となります。

研修目的と達成したい成果を明確にする

外部委託による研修を成功させるためには、まず具体的な目標設定が不可欠です。研修を実施する目的とそれによって達成したい成果を明確に定義することが、効果的な研修プログラムの第一歩となります。

研修の目的設定では、以下の3つの観点から具体的な目標を設定することが重要です。

  • 組織全体の経営目標との整合性を確保した具体的な数値目標の設定
  • 受講者の現状スキルと期待される行動変容の明確化
  • 研修効果を測定するためのKPIと評価基準の具体化

目標設定の際には部門ごとの課題や弱みを詳細に分析し、それらを克服するために必要なスキルや知識を特定します。この過程で明らかになった課題と目標は委託先との打ち合わせで具体的に共有し、双方で合意形成を図ることが大切です。

目標が明確になれば、その達成度を測定する評価指標も具体的に設定できます。これにより研修の効果測定がより正確になり、投資対効果の検証も容易になるでしょう。

対象者のニーズ分析と研修テーマの設定を行う

効果的な研修を実現するには、対象者の現状とニーズを正確に把握することが不可欠です。まずは研修対象となる社員層の業務実態や課題について、現場の声を丁寧に集める必要があります。

部門責任者や対象者本人へのヒアリングを通じて、現在のスキルレベルや日々の業務における具体的な課題を明らかにしていきましょう。この過程で、業務パフォーマンス向上に向けた重点強化分野が見えてきます。

ヒアリング対象確認すべきポイント
部門責任者部門の課題、期待する成果、育成方針
対象者本人現状の課題認識、習得したいスキル、キャリアプラン
人事部門全社的な人材育成方針、過去の研修実績

収集した情報を基に、具体的な研修テーマと学習項目を設定します。この際、組織の目標と個人の成長ニーズの両方を満たすバランスの取れた内容となるよう留意が必要です。

適切な研修委託先を選定する

研修委託先の選定する際は、複数の候補から最適なパートナーを見極めることが重要です。選定には明確な基準と体系的な比較方法が必要になります。

選定基準評価ポイント
実績・信頼性導入企業数、業界実績、受講者評価
講師の専門性資格保有状況、指導経験年数、専門分野
カリキュラムカスタマイズ性、最新性、実践度
費用対効果料金体系、研修効果測定方法

各候補先の提案内容は、自社のニーズや課題に対する適合度を数値化して評価することをおすすめします。研修目的との整合性を100点満点で採点し、70点以上を選定基準とする企業も増えています。

比較検討の際は、研修実施後のフォローアップ体制や効果測定の方法まで含めて総合的に判断することが大切です。特に、類似業界での実績や具体的な成功事例の有無は、重要な判断材料となります。

研修内容の設計からフォローまで計画を立てる

効果的な研修を実施するには、準備から実施、フォローまでの一貫した進行計画が不可欠です。研修開始の2〜3ヶ月前から具体的なマイルストーンを設定し、計画的に準備を進めていきましょう。

時期実施内容
2-3ヶ月前研修内容の詳細設計、事前課題の準備
1ヶ月前受講者への案内、会場・機材の手配
研修当日運営フロー確認、アンケート実施
1週間後フィードバック収集、効果測定
1ヶ月後フォローアップ研修、定着度確認

研修効果を最大化するために、実施前の準備から事後フォローまで、PDCAサイクルを意識した進行管理が重要です。特に、受講者の理解度や実践状況を定期的に確認し、必要に応じて追加のサポートを提供する体制を整えましょう。

研修内容の定着度を測る指標や評価基準も、事前に設定しておくことをおすすめします。これにより、投資対効果の検証や今後の改善点の特定が容易になります。

企業研修の委託費用と助成金

企業研修の委託費用と助成金

企業研修の委託費用は、1日あたり10〜50万円が一般的な相場です。人材開発支援助成金やキャリアアップ助成金など、研修費用を補助する行政支援制度も充実しています。

ここでは、研修委託の費用相場や内訳の詳細、助成金制度の活用方法、申請手続きのポイント、そして費用対効果を最大化する予算計画の具体的な立て方までを解説します。

研修委託の一般的な費用相場と内訳

研修委託の費用相場は、基本的に1回あたり10〜50万円程度で設定されています。この費用は受講人数や研修時間、内容の専門性などによって大きく変動します。

費用項目標準的な比率備考
講師料40〜50%講師の経験や専門性で変動
研修企画・準備費15〜20%研修内容の設計、カスタマイズ、資料作成などにかかる費用
教材費10〜15%受講者数に応じて変動
会場費10〜15%オンライン実施で削減可
運営管理費5〜10%事務局運営や進行管理
その他費用10〜15%交通費・宿泊費、設備・備品代、飲食費など

ヒューマンアカデミーが人事・研修担当者300名に実施したアンケート調査によると、受講者ひとり一人あたりに年間でかける研修費用が10万円以上の企業が約半数を占めました。

  • 3万円未満:19%
  • 3~5万円:17%
  • 5~10万円:19%
  • 10~15万円:15%
  • 15~20万円:16%
  • 20~30万円:8%
  • 30万円以上:6%

研修の目的や費用対効果を明確にしたうえで、研修に投資する予算を検討すると良いでしょう。

条件を満たせば助成金を利用できる

条件を満たせば、研修費用に対して助成金が適用される場合があります。研修内容や対象者によって受給額や要件が異なるため、自社に最適な制度を選択しましょう。

主な助成金制度と概要は以下のとおりです。

助成金実施者概要
人材開発支援助成金厚生労働省企業が従業員を教育・訓練する費用を国が助成する制度です。スキルアップを促進し、企業の競争力を向上させます。
キャリアアップ助成金厚生労働省非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善を行う事業主に支給される制度です。有期雇用労働者等のキャリアアップを促進し、待遇改善を図ることを目的としています。
両立支援等助成金厚生労働省仕事と家庭の両立支援に取り組む事業主を対象とした制度です。育児や介護、不妊治療などと仕事の両立を可能にする職場環境の整備を促進し、従業員が働き続けられるよう支援することを目的としています。
社内型スキルアップ助成金・民間派遣型スキルアップ助成金東京都中小企業等の従業員向け短時間職業訓練を支援する助成金制度です。社内型は自社での実施、民間派遣型は教育機関への派遣を対象とし、訓練経費の一部を助成します。
オンラインスキルアップ助成金東京都中小企業等を対象に、eラーニングによる従業員教育に対して助成金を支給する制度です。(公財)東京しごと財団が実施しており、従業員の職業能力開発と向上を促進することを目的としています。

助成金について、詳しくは以下の記事で解説しています。助成金に関心のある方はこちらの記事もご覧ください。

【2024年版】企業研修に使える助成金制度について解説

まとめ

本記事では、企業研修を外部委託することのメリットについて解説しました。

最後に、記事の内容をおさらいしておきましょう。

  • 専門性の高い最新スキルを効率的に習得でき、豊富な実績のある外部講師の知見が活用できる。
  • 社内リソースと時間の節約、研修予算の最適化とコスト削減につながる。
  • ニーズに合わせたカスタマイズ研修が実現し、客観的な視点で研修効果も測定できる。
  • 部門を超えて研修の品質を確保することが可能になる。

外部委託で研修を実施する際は目的と達成したい成果を明確にし、対象者のニーズ分析と研修テーマの設定を行いましょう。そして適切な委託先を選定し、研修内容の設計からフォローまでしっかりと計画を立てることが大切です。

費用面では一般的な相場や助成金制度を把握しておくと良いでしょう。

企業の人材育成においては、外部委託の活用が非常に有効な手段の一つです。自社の課題やニーズに合わせて外部リソースを上手に活用し、効果的な研修を実現していきましょう。

ヒューマンアカデミーでは、800以上の講座コンテンツや2,270名以上の在籍講師など、豊富なメニューによるカスタマイズ研修が可能です。企業研修にお困りの際は、お気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

研修メディア監修者・廣瀬哲人

当メディアの監修者:廣瀬哲人
株式会社ENロジカルの代表取締役として、企業研修・Eラーニングの開発や提供を行っています。京都大学在学中に、脳科学についての研究を行っており、現在ではAI(人工知能)技術のビジネス活用など、デジタル技術に精通した専門家として、ChatGPTなど生成AIの活用やDX人材の育成に関する企業研修・セミナー・講演講師を務めております。
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