従業員満足度(ES)とは?構成する要素や高めるメリット・ポイントを解説

従業員満足度(ES)とは?構成する要素や高めるメリット・ポイントを解説

近年、従業員満足度(ES)の重要性が注目を集めています。少子高齢化に伴う労働力不足や、ワークライフバランスを重視する価値観の変化などを背景に、企業は優秀な人材の確保と定着に力を入れる必要性に迫られています。そのカギを握るのが、従業員満足度の向上です。

従業員満足度は、生産性の向上やイノベーションの促進、優秀な人材の定着など、企業の持続的な成長と発展に欠かせない要素です。そこで本記事では、従業員満足度の意味や構成要素、高めることのメリットについて詳しく解説します。

また、従業員満足度を向上させるための具体的なポイントや、満足度を調べる方法についても紹介します。本記事を参考に、従業員が活き活きと働ける職場環境の構築を目指してください。

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従業員満足度(ES)とは?

従業員満足度(ES)とは?

従業員満足度とは、従業員が自分の職場環境や仕事内容、待遇などに対して感じる満足の度合いを指します。

高い従業員満足度は、生産性の向上やイノベーションの促進、優秀な人材の定着など、企業にとって多くのメリットをもたらします。

一方、従業員満足度が低いと、離職率の上昇や業績の低下につながる可能性があるため、企業は従業員満足度の向上に努める必要があります。

厚生労働省のデータによると、常用労働者※令和4(2022)年の離職率は15.0%であり、決して無視できない数値となっています。
※常用労働者:以下いずれかに該当する労働者。

① 期間を定めずに雇われている者
②1か月以上の期間を定めて雇われている者

【参考】厚生労働省|令和4年雇用動向調査結果の概況

離職による労働力不足は、企業の持続的な成長や発展を妨げる要因になります。労働力不足を防ぐために、従業員満足度を高めることが重要です。

従業員満足度(ES)を構成する5つの要素

従業員満足度(ES)を構成する5つの要素

従業員満足度は、複数の要素によって構成されています。

従業員満足度を構成する要素は主に以下の5つです。

  1. 職場環境への満足度
  2. 業務内容への満足度
  3. 評価や処遇への納得感
  4. 上司や経営層への信頼度
  5. 会社の将来性や安定性

それぞれ詳しく解説します。

①職場環境への満足度

職場環境への満足度は、職場の人間関係が良好であるかどうか、福利厚生が充実しているかどうかによって大きく影響を受けます。

良好な人間関係はコミュニケーションを円滑にし、協力的な雰囲気を生み出します。また、充実した福利厚生は従業員の生活の質を向上させ、仕事へのモチベーションを高めるでしょう。

②業務内容への満足度

業務内容への満足度は、従業員がやりがいを感じられる仕事であるかどうか、社会への貢献を実感できるかどうかによって決まります。

自分の能力を発揮でき成長を実感できる業務は、従業員の満足度を高めます。

また、自分の仕事が社会に役立っていると感じられることは、仕事へのモチベーションを維持する上で重要です。

③評価や処遇への納得感

評価や処遇への納得感は、評価制度の公平性や透明性、給与水準の適切性、昇進・昇格制度の妥当性によって影響を受けます。

従業員は、自分の貢献度が正当に評価され、それに見合った報酬を得られることを期待しています。

また、昇進・昇格の機会が公平に与えられることも、従業員の満足度を高めるでしょう。

④上司や経営層への信頼度

上司や経営層への信頼度は、適切なマネジメントが行われているかどうか、会社の方向性が明確に示されているかどうかによって決まります。

上司が部下の能力を引き出し適切な指導を行うことは、従業員の満足度を高めます。

また、経営層が会社の将来像を明確に示し、それに向けて一丸となって取り組む姿勢を見せることは、従業員の信頼を獲得する上で重要です。

⑤会社の将来性や安定性

会社の将来性や安定性は、従業員が自分の雇用やキャリアの見通しを立てる上で重要な要素です。

業績が安定し、成長が見込める会社であれば、従業員は安心して働くことができるでしょう。

また、会社が持続的に発展していくことは、従業員にとって自分の仕事が長期的に意義あるものであると感じられる要因にもなります。

従業員満足度(ES)を高める4つのメリット

従業員満足度(ES)を高める4つのメリット

従業員満足度を高めることは、企業にとって以下のようなメリットをもたらします。

  1. 生産性とイノベーションの向上
  2. 人材の定着と優秀な人材の獲得
  3. 顧客満足度と業績の向上
  4. 組織の一体感と健康経営の促進

それぞれ詳しく解説します。

①生産性とイノベーションの向上

満足度の高い従業員はモチベーションを維持し、業務により積極的に取り組むため、生産性が向上します。

また、創造性が発揮され、新しいアイデアを生み出す可能性が高まり、企業のイノベーション力が強化されるでしょう。

これらの効果は、企業の競争力を高め、市場における優位性を確保する上で重要な役割を果たします。

②人材の定着と優秀な人材の獲得

満足度が高い従業員は会社に対するロイヤルティが高くなるため、離職率が低下します。これにより、人材の定着や採用コストの削減が期待できるでしょう。

また、従業員満足度が高い企業は社会的評価が上がり、優秀な人材の獲得につながります。

人材は企業の最も重要な資産であるため、優秀な人材を確保し定着させることは、企業の成長と発展に欠かせません。

③顧客満足度と業績の向上

満足度の高い従業員は、顧客対応により積極的に取り組むため、顧客満足度の向上が期待できます。

また、生産性の向上や人材の定着、イノベーションの促進などの効果が相まって、企業の業績向上につながるでしょう。

顧客満足度と業績は密接に関連しているため、従業員満足度を高めることは企業の収益性を改善する上で重要な役割を果たします。

④組織の一体感と健康経営の促進

従業員満足度が高い職場では、活発なコミュニケーションによって協力的な雰囲気が生まれやすくなり、組織の一体感が醸成されます。

また、満足度の高い従業員は、心身ともに健康を維持しやすいため、健康経営の推進にもつながるでしょう。

従業員満足度の向上により、企業の持続的な発展に欠かせない組織の一体感と従業員の健康の実現が近づきます。

従業員満足度(ES)を高めるポイント

従業員満足度(ES)を高めるポイント

従業員満足度を高めるためには、いくつかのポイントがあります。

  • 明確な目標設定と適切な評価・報酬制度
  • キャリア開発支援とコミュニケーションの促進
  • ワークライフバランスと職場環境の整備
  • リーダーシップと多様性の尊重

明確な目標設定と適切な評価・報酬制度

従業員のモチベーションを高めるには、明確な目標設定が不可欠です。具体的で達成可能な目標を設定し、定期的にフィードバックを行うことが重要となります。

また、公平で透明性のある評価制度を導入し、従業員の貢献度に応じた適切な報酬を提供することが求められます。

これにより、従業員は自身の努力が正当に評価されていると感じ、満足度が向上するでしょう。

キャリア開発支援とコミュニケーションの促進

従業員の成長を支援することは、満足度を高める上で重要な要素です。社内外の研修や自己啓発の機会を提供し、従業員のスキルアップを図りましょう。

また、上司と部下、同僚間のコミュニケーションを活性化させ、風通しの良い職場環境を作ることも大切です。

定期的な面談や気軽に意見交換できる場を設けることで、従業員の意見や悩みを汲み取り、適切なサポートを行うことができます。

ワークライフバランスと職場環境の整備 

従業員の満足度を高めるには、仕事と私生活のバランスを尊重することが大切です。

柔軟な勤務体系や在宅勤務制度を導入し、従業員のライフスタイルに合わせた働き方を実現できる体制をつくりましょう。

また、人間工学に基づいた職場環境の整備も欠かせません。適切な照明、温度管理、騒音対策などを行い、従業員が快適に働ける環境を整えることが重要です。

 リーダーシップと多様性の尊重 

経営層が明確なビジョンを示し、従業員との対話を重視したリーダーシップを発揮することで、従業員からの信頼獲得に繋がります。

また、多様な背景を持つ従業員一人ひとりを尊重し、インクルーシブな職場環境を構築することが大切です。

さらに、会社として社会貢献活動に積極的に取り組み、従業員にもその機会を提供することで、働きがいを高めることができます。

社会に貢献できる企業で働くことは、従業員の満足度向上に大きく寄与するでしょう。

従業員満足度(ES)を調べる方法

従業員満足度(ES)を調べる方法

ここまで、従業員満足度を構成する要素や高めるメリット・ポイントを解説しました。

最後に、従業員満足度を調べる主な方法を解説します。

  • アンケート調査の実施
  • 面談・インタビューの実施
  • エンゲージメントサーベイの活用
  • 離職率分析と社内フィードバックシステムの導入

従業員満足度を高めるには、状況を正確に把握することが大切です。それぞれの方法について詳しく解説します。

アンケート調査の実施

従業員満足度を調べる最も一般的な方法は、アンケート調査です。従業員に対してアンケート調査を実施し、満足度や職場環境、仕事内容、人間関係などについての意見を収集します。

アンケート調査を行う際は、匿名性を確保することで率直な意見を得ることができるでしょう。

また、定期的にアンケートを実施することで、満足度の推移を追跡することができます。

面談・インタビューの実施

アンケート調査と組み合わせて、面談やインタビューを実施することも効果的です。

上司や人事部門が従業員と個別に面談やインタビューを行うことで、満足度や問題点、改善案などを直接聞き出すことができます。

面談やインタビューを行うことでアンケートでは得られない深い洞察を得ることが可能となります。

また、面談やインタビューでは、従業員の表情や声のトーンなども観察できるため、より詳細な情報を得ることができるでしょう。

エンゲージメントサーベイの活用

従業員満足度と関連する重要な指標として、エンゲージメントサーベイがあります。

エンゲージメントサーベイは、従業員の仕事への熱意や会社への帰属意識を測定するための専門的な調査です。

満足度だけでなく、仕事へのコミットメントや組織との一体感なども評価することができます。

エンゲージメントサーベイの結果を分析することで、従業員満足度の現状や課題を把握し、改善策を検討することができるでしょう。

離職率分析と社内フィードバックシステムの導入

離職率の高さは、従業員満足度の低さを示す可能性があります。そのため、離職率の推移を分析し、問題がある部署や職種を特定することで、改善策を講じることができます。

また、社内SNSやフィードバックシステムを導入し、従業員が日常的に意見や提案を発信できる環境を整備することも満足度の把握につながります。

リアルタイムで満足度を把握することができるため、迅速な対応が可能となるでしょう。

まとめ

従業員満足度は、企業の持続的な成長と発展に欠かせない要素です。

職場環境、業務内容、評価・処遇、上司や経営層への信頼、会社の将来性などの要素が満足度を構成しており、これらを適切にマネジメントすることが重要です。

従業員満足度を高めることで、生産性の向上、イノベーションの促進、人材の定着、顧客満足度の向上、組織の一体感の醸成などのメリットが期待できるでしょう。

従業員満足度の向上は、企業にとって重要な経営課題です。従業員一人ひとりが活き活きと働くことができる環境を整備し、満足度を高めることで、企業の持続的な成長と発展につながります。

この記事を書いた人

ヒューマンアカデミー企業研修編集部

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