ハラスメント研修|ハラスメントを防ぐ研修の内容や活用ポイントを解説

昨今、ハラスメントを起因としたトラブルの増加に伴い、社会問題化や法改正などの動きも見られています。
その流れでハラスメントに対する見方もより一層厳しいものとなり、企業におけるハラスメント対策も徹底されることが望まれている状況です。

そのハラスメントを防止する手段として活用されるのが、ハラスメント研修による社員教育です。本記事ではハラスメント研修の重要性と効果的な進め方について解説します。

人事-研修担当者300名へのアンケート調査

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ハラスメントとは?

ハラスメントとは、相手の人格を否定し尊厳を傷つける言動や行動を指します。ハラスメントの種類も多岐に渡り、セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、マタニティハラスメントなどが代表的です。

ハラスメントに関しては、明確に法律で禁止されており、企業としての対応が求められています。改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)は2020年6月に施行され、中小企業は2022年4月1日から義務化しています。事業主に対してはパワハラ防止対策が義務付けられており、違反すると懲役または罰金が科せられます。

また、ハラスメントが起きることによる問題は違反による罰金等の直接なペナルティだけでなく、社会的信用の毀損による取引への影響など、企業としての信頼に繋がる恐れもあります。
企業にとってハラスメントの防止は責務というだけでなく、自社の利益を守るための手段ともいえるでしょう。

代表的な6種類のハラスメント

会社内で大きなトラブルへと発展する、且つ起きやすいといえるハラスメントには、大きく以下の6種類があります。

①セクシュアルハラスメント

セクシュアルハラスメントは、職場において性的な言動によって就業環境を害することです。具体的には、身体への不必要な接触、性的な噂の流布、わいせつな画像の掲示などがあります。被害者は精神的苦痛を強いられ、就業意欲が低下する結果となります。

②パワーハラスメント

パワーハラスメントは、職務上の地位や権限を背景に、業務上の必要以上に相手を精神的に攻撃する行為です。具体的には、人格否定的な発言や過大な要求、仕事の妨害などがあてはまります。被害者の心身の健康を損なう結果となります。

③マタニティハラスメント

マタニティハラスメントは、女性の妊娠、出産、育児休業等に関する言動により就業環境を害することです。具体的には、解雇などの不利益取扱いや、母性を否定する発言などが該当します。出産や子育ての機会を奪う人権侵害となります。

④ジェンダーハラスメント

ジェンダーハラスメントとは、相手の性別や性自認に関する発言や行為により、就業環境を害することを指します。
具体的には、性別に基づく役割期待を押し付けること、性別に関する固定観念で評価すること、LGBTへの嫌がらせなどが含まれます。

「男らしくない」「女だから仕方ない」などと性別によるステレオタイプで人格を否定することや、婚姻や出産に関するプライベートな質問をすることもジェンダーハラスメントにあたります。

職場における固定的な性別観を変えることが必要であり、ジェンダーハラスメントの防止のためにも教育と意識改革が欠かせません。

⑤アルコールハラスメント

アルコールハラスメントとは、飲酒を強要したり、飲酒量を笑ったりして、職場環境を悪化させる行為です。
具体的な例としては、飲み会への参加を強制する、酒を飲めないことをからかう、泥酔した状態で迷惑行為を行う、等があります。

飲酒そのものが問題なのではなく、本人の意思に反して飲酒を強要したり、飲酒量で評価したり笑ったりすることが問題となります。飲酒を強要することは傷害罪に該当する可能性もあります。飲酒を強要されたことにより、本人が健康を害したり休業災害につながったりする可能性があるため、非常にリスクが高い行為です。

アルコールハラスメントを防止するためには、飲酒は個人の自由であることを尊重する意識改革と、飲酒マナーの向上が重要です。

⑥リストラハラスメント

リストラハラスメントとは、企業のリストラクチャリング(人員整理)に際して、対象者の精神を病むほど苦痛を与える言動を指します。具体的な例としては、対象者に屈辱的な言動を浴びせる、退職を強要する、業務を過大に課して精神的負担をかける、等があります。

リストラハラスメントを防止するには、必要以上に対象者を傷つけない配慮と、対象者のケアが欠かせません。カウンセリングの提供や、対象者の尊厳を尊重する対応が重要です。

ハラスメント研修の目的

ハラスメント研修の目的をまとめると以下の通りです。

  • ハラスメントに関する正しい知識の習得
  • ハラスメント発生の背景要因の理解
  • ハラスメントに関する感度や判断力の向上
  • ハラスメントを許さない職場風土の醸成
  • ハラスメント防止のための具体的行動の習得

大枠としてはハラスメントに関する正しい知識の習得と意識の改革です。ハラスメントを許さない職場風土を醸成し、防止することが目標となります。
企業においてもハラスメントを防止する意識が高まっていると見られ、ヒューマンアカデミーが実施した「人事・研修担当者300名へのアンケート調査」でも、ハラスメント研修の実施率が上位の結果となっていました。

【現在、あなたの会社で実施している研修の内容・テーマは?】
※アンケート調査より一部抜粋

【画像引用】https://biz.athuman.com/news/detail/125.php

  • 1位:コミュニケーション研修(62%)
  • 2位:伝え方の研修(52%)
  • 3位:リーダー研修(51%)
  • 4位:コンプラ・ハラスメント研修(45%)
  • 5位:考え方の研修(43%)

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ハラスメント研修の対象者

ハラスメント研修の対象者は、企業の役職者から一般職の社員まで、所属するすべての人が含まれます。職位の高低に関わらず、誰もがハラスメントの加害者にも被害者にもなり得る存在であることを自覚し、意識を高める研修が重要です。

特に管理職は部下や後輩に多大な影響力を持っているため、ハラスメント防止の先頭に立つ必要があり、重点的なハラスメント研修が求められます。
新入社員に対しては、社会人としての最初のハラスメント研修の場として、入社当初から意識付けを徹底することが大切です。さらに、顧客や取引先などの外部の人々に対する言動にも配慮が必要になるでしょう。

ハラスメントのない職場環境を実現するには、組織全体の意識改革が欠かせません。

ハラスメント研修のポイント

ハラスメント研修を実施する際のポイントは、正しい判断基準を理解させること、ハラスメントにおけるグレーゾーンの認識を高めることです。

ハラスメント研修では、単に知識を注入するだけではなく、実例を用いた事例研究やディスカッションを取り入れることで、参加者自身がハラスメントに対する感度を研ぎ澄ませ、適切な判断・行動ができる力を身に付けられるようにすることが大切です。

また、ハラスメント研修後にアンケートを実施するなどして理解度や意識の変化を測定し、効果を評価することも重要です。

こうした意識啓発とスキル向上を継続的に推進するために、定期的なフォローアップ研修を企画することも求められます。

ハラスメントの境界線は、あいまいであるため、自社内の視点だけでは見落としてしまうポイントもあります。ハラスメント研修においては、プロの研修会社のプログラムを上手く活用していくことをおすすめします。

ハラスメント研修の効果

ハラスメント研修を実施することで期待できる効果は大きく分けて3つあります。

①職場環境の改善

社員のハラスメントに対する意識が高まり、より健全なコミュニケーションが醸成されることで、働きやすい職場環境をつくることができるでしょう。ハラスメントの境界線を区別できるようになることで、コミュニケーションの活性化にも繋がります。

②生産性の向上

ハラスメントがなくなることで、社員のモチベーションが高まり、さらに心身の健康面にも繋がります。それにより、副次的に業務の効率化やパフォーマンスの向上につながります。

③メンタルヘルスの改善

ハラスメントは受け手のメンタルヘルスを害するため、その防止は社員のストレス軽減やハラスメント起因の離職など企業の損害に繋がることの改善が期待できます。

ハラスメント研修は単なるリスクマネジメントではなく、企業全体の生産性向上にも寄与するものです。ハラスメント研修を通した良い効果を生み出すために、継続的な取り組みを行っていくとよいでしょう。

ハラスメント研修のカリキュラム例

ヒューマンアカデミーのハラスメント研修は、職場におけるハラスメント問題について再確認を行い、社員一人ひとりに対して人権・人格尊重の重要性を意識徹底させるとともに、誤解や意思疎通の欠如に起因するハラスメント問題をなくすためのコミュニケーション力と知識を習得するプログラムです。

ハラスメント研修は、基本的には管理職と一般職にわけて行います。

【一般職向け】ハラスメント研修の目的

  • ハラスメント(セクハラ、パワハラ)を、事例やリスクを含めて理解する。
  • ハラスメントが発生する環境(組織や行為者の特徴等)を理解する。
  • ハラスメントを防止するための取り組みを理解し、それに寄与することができる人材となるための最低限の知識を得る。

一般職向けのハラスメント研修例

【管理職向け】ハラスメント研修の目的

  • ハラスメント(セクハラ、パワハラ)を、事例やリスクを含めて理解する。
  • ハラスメントが発生する環境(組織や行為者の特徴等)を理解する。
  • ハラスメントを防止するための取り組みを理解し、それに寄与することができる人材となるための最低限の知識を得る。
  • 管理職として必要なコミュニケーションやハラスメント防止の心構えを理解する。

管理職向けのハラスメント研修例

ハラスメント研修に期待される効果

  • 人権尊重・コンプライアンス特にハラスメント問題について、理解・意識を深めます
  • 受け手の立場に立ったコミュニケーション 手法をしようできるようになります(アサーションスキル)
  • 風通しの良い職場の基盤となる、職場の相互信頼関係の 構築ができるようになる

企業様の課題に応じて、研修内容のカスタマイズや組み合わせも可能です。
ハラスメント研修など、研修の実施をご検討の方はぜひご相談ください。

ハラスメント研修でお困りですか?

ハラスメントを防止するための企業の取り組みは、継続して取り組むことが重要です。

ハラスメントは無意識のうちに行ってしまうことも多いため、ハラスメント防止の社内方針を明確化し、周知徹底するだけでなく、定期的な研修を実施し、ハラスメントに対する知識と意識を浸透させていかなくてはなりません。

社員への意識を向上させるためにも、ハラスメント研修の定期的な実施をおすすめいたします。

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この記事を書いた人

研修メディア監修者・廣瀬哲人

当メディアの監修者:廣瀬哲人
株式会社ENロジカルの代表取締役として、企業研修・Eラーニングの開発や提供を行っています。京都大学在学中に、脳科学についての研究を行っており、現在ではAI(人工知能)技術のビジネス活用など、デジタル技術に精通した専門家として、ChatGPTなど生成AIの活用やDX人材の育成に関する企業研修・セミナー・講演講師を務めております。
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