ハラスメント研修とは?目的や効果、内容、実施ポイントを解説

ハラスメント研修は、職場における様々なハラスメントを防止し、健全な労働環境を実現するための重要な取り組みです。しかし、以下のような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

・ハラスメント研修の具体的な内容や目的がよくわからない
・ハラスメント研修を実施する効果について知りたい
・ハラスメント研修の対象者や実施のポイントを知りたい

結論から言うと、ハラスメント研修は組織全体の意識改革と適切な対応スキルの習得を目的とし、職場環境の改善や生産性向上、メンタルヘルスの改善など多くの効果が期待できます。

本記事では、ハラスメント研修の目的や効果、対象者、実施のポイントなどについて詳しく解説します。また、企業においてハラスメントが生じる要因や違反時のリスク、代表的なハラスメントの種類についても触れているので、ぜひ参考にしてください。

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ハラスメント研修とは

ハラスメント研修は職場における様々な嫌がらせを防止し、健全な労働環境を実現するための教育プログラムです。近年の法改正により、企業にはハラスメント対策が義務付けられています。

特に管理職や人事担当者には正しい知識と対応スキルが求められるようになりました。研修を通じて社員の意識改革を図り、誰もが安心して働ける職場づくりを推進していくことが重要です。

ハラスメント研修の目的

ハラスメント研修の目的をまとめると以下の通りです。

  • ハラスメントに関する正しい知識の習得
  • ハラスメント発生の背景要因の理解
  • ハラスメントに関する感度や判断力の向上
  • ハラスメントを許さない職場風土の醸成
  • ハラスメント防止のための具体的行動の習得

大枠としてはハラスメントに関する正しい知識の習得と意識の改革です。ハラスメントを許さない職場風土を醸成し、防止することが目標となります。

ハラスメント研修の効果

ハラスメント研修を実施することで期待できる効果は大きく分けて3つあります。

①職場環境の改善

社員のハラスメントに対する意識が高まり、より健全なコミュニケーションが醸成されることで、働きやすい職場環境をつくることができるでしょう。

ハラスメントの境界線を区別できるようになることで、コミュニケーションの活性化にも繋がります。

②生産性の向上

ハラスメントがなくなることで、社員のモチベーションが高まり、さらに心身の健康面にも繋がります。

それにより、副次的に業務の効率化やパフォーマンスの向上につながります。

③メンタルヘルスの改善

ハラスメントは受け手のメンタルヘルスを害するため、その防止は社員のストレス軽減やハラスメント起因の離職など企業の損害に繋がることの改善が期待できます。

ハラスメント研修は単なるリスクマネジメントではなく、企業全体の生産性向上にも寄与するものです。研修を通した良い効果を生み出すために、継続的な取り組みを行っていくとよいでしょう。

ハラスメント研修の対象者

ハラスメント研修の対象者は、企業の役職者から一般職の社員まで、所属するすべての人が含まれます。

職位の高低に関わらず、誰もがハラスメントの加害者にも被害者にもなり得る存在であることを自覚し、意識を高める研修が重要です。

特に管理職は部下や後輩に多大な影響力を持っているため、ハラスメント防止の先頭に立つ必要があり、重点的な研修が求められます。

新入社員に対しては、社会人としての最初の研修の場として、入社当初から意識付けを徹底することが大切です。さらに、顧客や取引先などの外部の人々に対する言動にも配慮が必要になるでしょう。

ハラスメントのない職場環境を実現するには、組織全体の意識改革が欠かせません。

【アンケート調査】現在、あなたの会社で実施している研修の内容・テーマは?

※アンケート調査より一部抜粋

【画像引用】https://biz.athuman.com/news/detail/125.php

  • 1位:コミュニケーション研修(62%)
  • 2位:伝え方の研修(52%)
  • 3位:リーダー研修(51%)
  • 4位:コンプラ・ハラスメント研修(45%)
  • 5位:考え方の研修(43%)

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企業におけるハラスメントとは?

ハラスメントとは、相手の人格を否定し尊厳を傷つける言動や行動を指します。ハラスメントの種類も多岐に渡り、セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、マタニティハラスメントなどが代表的です。

ハラスメントに関しては明確に法律で禁止されており、企業としての対応が求められています。

改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)は2020年6月に施行され、中小企業は2022年4月1日から義務化しています。

事業主に対してはパワハラ防止対策が義務付けられており、違反すると懲役または罰金が科せられます。

また、ハラスメントが起きることによる問題は違反による罰金等の直接なペナルティだけでなく、社会的信用の毀損による取引への影響など、企業としての信頼に繋がる恐れもあります。

企業にとってハラスメントの防止は責務というだけでなく、自社の利益を守るための手段ともいえるでしょう。

企業においてハラスメントが生じる要因

企業内でハラスメントが発生する要因は主に三つあります。

まず組織風土の問題として、強固な上下関係や過度な成果主義、長時間労働の常態化などが挙げられます。「昔から当たり前」という慣習を無批判に続ける閉鎖的な組織では問題が表面化しにくいでしょう。

次にコミュニケーション不全も大きな要因です。上司と部下の対話不足や一方通行の指示、不明確な期待伝達はフラストレーションを蓄積させます。部署間の連携不足や感情的なコミュニケーションも職場の雰囲気を悪化させるでしょう。

さらに管理職のマネジメントスキル不足も影響します。人材育成やフィードバック方法の未習得、多様性への理解不足、感情コントロールの問題などが含まれます。これらの改善には経営層の姿勢表明と対話促進の仕組みづくり、定期的なマネジメント研修が有効です。

違反時のリスクと罰則

ハラスメント対策を怠った企業には様々なリスクが待ち受けています。

  • 企業名の公表や是正勧告といった行政処分
  • 被害者からの高額な損害賠償請求や訴訟リスク
  • 社会的信用の失墜
  • 報道やSNSでの拡散によrる企業イメージの悪化
  • 優秀な人材の流出や採用難

上記を理由に、長期的な経営課題に発展するケースも少なくありません。

知っておきたい代表的な6種類のハラスメント

会社内で大きなトラブルへと発展する、且つ起きやすいといえるハラスメントには、大きく以下の6種類があります。

ハラスメントの種類概要
セクシュアルハラスメント職場での性的言動により就業環境を害する行為。身体への不必要な接触、性的な噂の流布、わいせつ画像の掲示などが該当し、被害者の就業意欲低下を招く。
パワーハラスメント職務上の地位や権限を背景に、業務上必要以上に精神的攻撃を行う行為。人格否定的発言、過大な要求、仕事の妨害などが含まれ、被害者の心身の健康を損なう。
マタニティハラスメント妊娠、出産、育児休業等に関する言動で就業環境を害すること。解雇などの不利益取扱いや母性否定発言が該当し、出産や子育ての機会を奪う人権侵害となる。
ジェンダーハラスメント性別や性自認に関する発言・行為で就業環境を害すること。性別役割の押し付け、固定観念での評価、LGBTへの嫌がらせなどが含まれ、固定的性別観の改革が必要。
アルコールハラスメント飲酒強要や飲酒量を笑うなど、職場環境を悪化させる行為。飲み会参加の強制、酒が飲めないことへの嫌がらせなどがあり、健康被害や休業災害につながる可能性がある。
リストラハラスメント人員整理時に対象者に精神的苦痛を与える言動。屈辱的言動、退職強要、過大な業務負担などがあり、防止には対象者の尊厳尊重と適切なケアが重要。

ハラスメント研修のポイント

ハラスメント研修を実施する際のポイントは、正しい判断基準を理解させること、ハラスメントにおけるグレーゾーンの認識を高めることです。

ハラスメント研修では、単に知識を注入するだけではなく、実例を用いた事例研究やディスカッションを取り入れることで、参加者自身がハラスメントに対する感度を研ぎ澄ませ、適切な判断・行動ができる力を身に付けられるようにすることが大切です。

また、研修後にアンケートを実施するなどして理解度や意識の変化を測定し、効果を評価することも重要です。

こうした意識啓発とスキル向上を継続的に推進するために、定期的なフォローアップ研修を企画することも求められます。

ハラスメントの境界線は、あいまいであるため、自社内の視点だけでは見落としてしまうポイントもあります。ハラスメント研修においては、プロの研修会社のプログラムを上手く活用していくことをおすすめします。

ハラスメント研修のカリキュラム例

ヒューマンアカデミーのハラスメント研修は、職場におけるハラスメント問題について再確認を行い、社員一人ひとりに対して人権・人格尊重の重要性を意識徹底させるとともに、誤解や意思疎通の欠如に起因するハラスメント問題をなくすためのコミュニケーション力と知識を習得するプログラムです。

ハラスメント研修は、基本的には管理職と一般職にわけて行います。

【一般職向け】ハラスメント研修の目的

  • ハラスメント(セクハラ、パワハラ)を、事例やリスクを含めて理解する。
  • ハラスメントが発生する環境(組織や行為者の特徴等)を理解する。
  • ハラスメントを防止するための取り組みを理解し、それに寄与することができる人材となるための最低限の知識を得る。

一般職向けのハラスメント研修例

【管理職向け】ハラスメント研修の目的

  • ハラスメント(セクハラ、パワハラ)を、事例やリスクを含めて理解する。
  • ハラスメントが発生する環境(組織や行為者の特徴等)を理解する。
  • ハラスメントを防止するための取り組みを理解し、それに寄与することができる人材となるための最低限の知識を得る。
  • 管理職として必要なコミュニケーションやハラスメント防止の心構えを理解する。

管理職向けのハラスメント研修例

ハラスメント研修に期待される効果

  • 人権尊重・コンプライアンス特にハラスメント問題について、理解・意識を深めます
  • 受け手の立場に立ったコミュニケーション 手法をしようできるようになります(アサーションスキル)
  • 風通しの良い職場の基盤となる、職場の相互信頼関係の 構築ができるようになる

企業様の課題に応じて、研修内容のカスタマイズや組み合わせも可能です。
ハラスメント研修など、研修の実施をご検討の方はぜひご相談ください。

ハラスメント研修でお困りですか?

ハラスメントを防止するための企業の取り組みは、継続して取り組むことが重要です。

ハラスメントは無意識のうちに行ってしまうことも多いため、ハラスメント防止の社内方針を明確化し、周知徹底するだけでなく、定期的な研修を実施し、ハラスメントに対する知識と意識を浸透させていかなくてはなりません。

社員への意識を向上させるためにも、ハラスメント研修の定期的な実施をおすすめいたします。

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この記事を書いた人

研修メディア監修者・廣瀬哲人

当メディアの監修者:廣瀬哲人
株式会社ENロジカルの代表取締役として、企業研修・Eラーニングの開発や提供を行っています。京都大学在学中に、脳科学についての研究を行っており、現在ではAI(人工知能)技術のビジネス活用など、デジタル技術に精通した専門家として、ChatGPTなど生成AIの活用やDX人材の育成に関する企業研修・セミナー・講演講師を務めております。
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