リテンションとは?重要視される背景やメリット、実施すべき施策を解説

リテンションとは?重要視される背景やメリット、実施すべき施策を解説

少子高齢化や転職市場の活発化により、優秀な人材の確保と定着が年々難しくなっています。

このような状況下で注目されているのが、「リテンション」への取り組みです。

そこで本記事では、リテンションの意味や重要性、そして企業が実施すべき施策について詳しく解説します。

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リテンションとは?

リテンションとは?

リテンション(Retention)とは、直訳すると「保持」「維持」という意味で、人事用語としては「人材の定着」を意味する言葉です。

マーケティング用語としても用いられ、その場合は「顧客の維持」を意味します。

この記事では、人事用語としてのリテンションに焦点を当て、その重要性と企業が取り組むべき施策について解説していきます。

リテンションが重要視される背景

リテンションが重要視される背景

昨今、人事領域においてリテンションが重要視されています。

その背景は主に以下の2つです。

  1. 少子高齢化・労働人口減少による人材不足
  2. 転職市場活発化による人材の流動化

それぞれ詳しく解説します。

少子高齢化・労働人口減少による人材不足

日本では少子高齢化が進行しており、労働人口の減少が深刻な問題となっています。

内閣府のデータによると、15~64歳人口は平成7(1995)年に8,716万人でピークを迎え、その後減少に転じ令和元年には7,507万人でした。

【参考】1 高齢化の現状と将来像|令和2年版高齢社会白書(全体版) – 内閣府

企業にとって優秀な人材の確保がより難しくなる中、既存の人材を定着させることが重要になってきています。

新たな人材を採用・育成するコストを考えると、リテンションへの投資は企業の持続的成長に不可欠だと言えるでしょう。

転職市場活発化による人材の流動化

近年転職市場が活発化し、人材の流動性が高まっています。

厚生労働省のデータによると、常用労働者※令和4(2022)年の離職率は15.0%であり、決して無視できない数値となっています。
※常用労働者:以下いずれかに該当する労働者。

  1. 期間を定めずに雇われている者
  2. 1か月以上の期間を定めて雇われている者

【参考】厚生労働省|令和4年雇用動向調査結果の概況

特に優秀な人材ほど、転職を検討したり他社からのヘッドハンティングを受けたりする機会が増えています。

そのため、企業には人材を引き留める努力が求められます。リテンションに積極的に取り組むことで、人材流出のリスクを軽減することができるでしょう。

リテンションに取り組むメリット

リテンションに取り組むメリット

企業がリテンションに取り組むメリットとして、主に以下の項目があげられます。

  • 採用・人材育成コストの抑制
  • ノウハウ・スキルの蓄積と流失防止
  • 従業員のモチベーション向上
  • 経営の安定化

それぞれ詳しく解説します。

採用・人材育成コストの抑制

新たな人材を採用し、育成するためには多大なコストがかかります。一方、既存の人材を定着させることで、採用・育成コストを抑制することが可能です。

人材が長期的に活躍することで、投資対効果も高まるでしょう。

ノウハウ・スキルの蓄積と流失防止

人材が定着することで、業務に関するノウハウやスキルが組織内に蓄積されていきます。

社員が持つノウハウやスキルは企業の貴重な資産であり、競争力の源泉にもなります。

リテンションに取り組むことでノウハウやスキルの流失を防ぎ、組織力の維持・向上につながるでしょう。

従業員のモチベーション向上

企業がリテンションに取り組むことで、従業員の満足度やエンゲージメントを高めることができます。

従業員が長く働き続けたいと感じる環境を整備することで、モチベーションの向上が期待できます。

高いモチベーションを持つ従業員は生産性や創造性を発揮し、企業の発展に貢献してくれるでしょう。

経営の安定化

優秀な人材が定着することで、事業運営の安定性が高まります。人材の入れ替わりが少ないことで、一貫した方針で経営を進めることが可能です。

また、人材の定着は企業の信頼性やブランドイメージの向上にもつながります。顧客や取引先からの信頼を得ることで、安定的な経営基盤を築くことができるでしょう。

企業が実施すべきリテンション施策

企業が実施すべきリテンション施策

企業が実施すべきリテンション施策には、「金銭的報酬」と「非金銭的報酬」の2種類があります。

【金銭的報酬】

  • 適切な人事評価・給与体系の構築
  • 福利厚生の充実

【非金銭的報酬】

  • 働きやすい環境の構築
  • スキルアップ・キャリア支援

それぞれ詳しく解説します。

【金銭的報酬】適切な人事評価・給与体系の構築

従業員の努力と成果に見合った評価と報酬を提供することが重要です。公正な人事評価制度を整備し、適切な給与体系を構築しましょう。

従業員のモチベーションを高め、長期的な定着につなげることができます。

【金銭的報酬】福利厚生の充実

福利厚生を充実させることで、従業員の満足度を高めることができます。健康診断や休暇制度、育児支援など、従業員のニーズに合わせた福利厚生を整備しましょう。

働きやすい環境を提供することが、リテンションにつながります。

【非金銭的報酬】働きやすい環境の構築

柔軟な働き方を可能にする制度の導入や、快適なオフィス環境の整備など、働きやすい環境を構築することが大切です。

従業員のワークライフバランスを支援し、ストレスの少ない職場づくりを目指しましょう。

【非金銭的報酬】スキルアップ・キャリア支援

従業員のスキルアップやキャリア形成を支援する取り組みも重要です。研修制度の充実や、キャリアパスの明確化などを通じて、従業員の成長をサポートしましょう。

自己実現の機会を提供することで、従業員のエンゲージメントを高められます。

まとめ

まとめ

リテンションとは、優秀な人材を定着させ、長期的な活躍を促すための取り組みです。少子高齢化や人材流動化が進む中、リテンションの重要性はますます高まっています。

企業は金銭的・非金銭的な報酬を適切に組み合わせ、働きやすい環境を整備することが求められます。

リテンションに積極的に取り組み、企業の持続的成長と発展を実現しましょう。

この記事を書いた人

研修メディア監修者・廣瀬哲人

当メディアの監修者:廣瀬哲人
株式会社ENロジカルの代表取締役として、企業研修・Eラーニングの開発や提供を行っています。京都大学在学中に、脳科学についての研究を行っており、現在ではAI(人工知能)技術のビジネス活用など、デジタル技術に精通した専門家として、ChatGPTなど生成AIの活用やDX人材の育成に関する企業研修・セミナー・講演講師を務めております。
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