コロナ禍によるリモートワークの普及により、人材育成の在り方が大きく変わった企業もあるのではないでしょうか。
中でもオンライン研修は、時間と場所に縛られない柔軟な人材育成方式として注目を集めています。
そこで本記事では、人材育成の鍵を握るオンライン研修について、その特徴やメリット、成功のポイント、注意点などを詳しく解説します。
社員一人ひとりの成長を効果的にサポートし、組織力を高めるために、オンライン研修の戦略的に活用しましょう。
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オンライン研修とは
オンライン研修とは、インターネットを活用して行う教育訓練のことを指します。
従来の集合研修とは異なり、受講者は自宅やオフィスなどの好きな場所で、自分のペースで学習を進められるのが特徴です。
昨今の技術革新やコロナ禍の影響により、企業の人材育成においてもオンライン研修の導入が加速しています。
オンライン研修は、時間と場所の制約を受けずに効率的な学習を実現できるため、今後ますます重要性が高まるでしょう。
オンライン研修に必要なツール
オンライン研修を行う際に必要なツールは、主に以下の通りです。
- ウェブ会議ツール
- 動画配信プラットフォーム
- コミュニケーションツール(チャットやメッセージングアプリなど)
- 受講者の学習状況を管理するためのデータ分析ツール
研修形式や内容に応じて必要なツールが異なるため、状況に応じて整備を行いましょう。
オンライン研修を行うメリット
オンライン研修を行うメリットは以下の通りです。
- 時間と場所の制約を受けない
- 研修コストを削減できる
- 学習内容を標準化できる
- 学習履歴の追跡と管理がしやすい
それぞれ詳しく解説します。
時間と場所の制約を受けない
オンライン研修は、インターネット環境があれば時間と場所を選ばずに受講できます。
社員は自分のペースで学習を進められるため、業務との両立がしやすくなります。また、遠方の支社や営業所の社員も移動時間を気にせず受講することが可能です。
このように、オンライン研修は従業員の学習機会を大幅に拡大し、企業の人材育成を促進します。
研修コストを削減できる
オンライン研修を導入することで、対面型の研修で発生する会場の手配や講師の交通費、宿泊費、資料の印刷代など、各種コストを削減できます。
また、社員の移動にかかる時間や交通費も節約できるため、企業にとって大きなコストメリットがあります。
コスト削減により捻出された予算を、より効果的な研修コンテンツの開発や人材育成施策に充てることができるでしょう。
学習内容を標準化できる
オンライン研修では、全ての受講者に同じ内容の研修を提供できます。これにより、研修内容の質を担保しつつ、社員の知識やスキルを平準化することが可能です。
また、研修内容を編集・更新する際も、一度の変更で全ての受講者に反映できるため、運用の効率化が図れます。
学習内容の標準化は、組織全体のパフォーマンス向上につながるでしょう。
学習履歴の追跡と管理がしやすい
オンライン研修では、受講者の学習履歴や理解度をシステム上で追跡・管理できます。これにより、個々の社員の学習状況を把握しやすくなり、適切なフォローアップを行うことが可能です。
また、研修の効果測定や改善にも役立てられます。学習履歴のデータを分析することで、研修プログラムの最適化や個別の能力開発計画の立案が可能になるでしょう。
オンライン研修のデメリット・注意点
オンライン研修は、時間や場所の制約を受けずに学習できる利点がある一方で、いくつかのデメリットや注意点も存在します。オンライン研修を効果的に実施するためには、これらの課題に適切に対処することが重要です。
ここでは、オンライン研修における主なデメリットや注意点について詳しく解説していきます。
受講者の集中力が低下しやすい
オンライン研修では、受講者の集中力が低下しやすいというデメリットがあります。長時間画面を見続けることで目の疲労や肩こりなどの身体的な負担が蓄積したり、対面ではないことから気の緩みが生じたりするため、学習効果が低下する可能性があるのです。
そのため、適度な休憩時間を設けたり、クイズやディスカッションなどの参加型のアクティビティを取り入れたりするなど、受講者の集中力を維持するための工夫が必要不可欠です。
コミュニケーションが希薄化しやすい
オンライン研修では、対面式の研修と比べて講師や他の受講者とのコミュニケーションが取りにくくなるというデメリットがあります。直接顔を合わせての対話やグループワークでの協働作業など、対面ならではのインタラクションが制限されるため、受講者同士の関係性構築や相互理解が難しくなるのです。
コミュニケーションを促進するために、チャット機能やブレイクアウトルームなどのオンラインツールを活用し、受講者間の双方向のやりとりを促進すると良いでしょう。
実習やグループワークの実施が難しい
実技を伴う研修や、対面でのグループワークが必要とされる内容については、オンライン研修での実施が困難になるケースがあります。
例えば、機器の操作やロールプレイングなどの実践的な演習は、オンライン上では十分に再現しにくいです。
対処法として、オンラインツールを使った代替的な方法を検討したり、対面研修と組み合わせたハイブリッド型の研修を採用したりするなど、柔軟な対応が求められます。
受講環境の整備が必要になる
オンライン研修を受講する際、各受講者の通信環境や使用するデバイスの違いによって研修体験に差が生じてしまう可能性があります。インターネット回線の安定性や、PC・タブレットなどの機器のスペックによっては、スムーズに研修を受けられないケースもあるでしょう。
そのため、研修に必要な最低限の受講環境を事前に明確にし、可能な限り受講者間で均一な環境を整えることが重要です。
技術的トラブルのリスクが発生する場合がある
オンライン研修では、通信環境の不具合やデバイスの問題など、技術的なトラブルが発生するリスクがあります。予期せぬ通信障害やシステムエラーにより、研修の進行が妨げられたり、受講者の学習意欲が損なわれたりするかもしれません。
トラブルを防ぐために、事前の接続テストを入念に行ったり、トラブル発生時の対応手順をあらかじめ準備したりしておくと良いでしょう。
オンライン研修の実施手順
オンライン研修を効果的に実施するには、入念な準備と適切な手順が不可欠です。目的の明確化や研修内容の選定、コンテンツ作成、機材・ツールの準備、リハーサルなど、各段階で留意すべき点があります。
ここでは、オンライン研修を成功に導くための実施手順について、ステップごとに詳しく解説していきます。
目的を明確にする
オンライン研修を実施する際には、まず研修の具体的な目標を明確に設定することが重要です。研修で達成したい目的を明らかにし、それがオンライン形式に適しているかどうかを慎重に見極めます。
例えば、OAスキルの向上を目指す研修であれば、オンラインでの実施が効果的だと言えるでしょう。一方、チームビルディングを主眼とする研修の場合は、対面形式の方がより適している可能性があります。
目的に合わせて最適な研修形式を選択することが大切です。
研修の種類と内容を決める
研修の目的が明確になったら、次は対象者や目的に合わせて適切な実施方法を選定します。
その場でのフィードバックが必要とされる研修内容であれば、リアルタイム配信型のオンライン研修が適しているでしょう。一方、受講者が自分のペースで自己学習を進めたい場合は、オンデマンド配信型の研修が効果的です。
また、研修内容については専門性の高いテーマであれば外部の専門家に依頼するなど、目的に応じて最適なものを選びましょう。
コンテンツを準備する
オンライン研修に使用する資料やスライドなどのコンテンツを入念に準備することが大切です。
自社でコンテンツを作成する場合は、専門知識を持つスタッフの協力を得るなどして、質の高い教材を用意しましょう。
一方、信頼性の高いオンライン研修サービスを利用する方法もあります。その際は、提供される教材の質やサポート体制を確認することが重要です。
また、機密情報を扱う場合は、セキュリティ面にも十分な注意を払う必要があります。
必要な機材とツールを準備する
オンライン研修を実施するには、PCやマイク、Webカメラなどの必要機材を事前に準備しておくことが不可欠です。
また、Web会議システムなどのオンラインツールの選定も慎重に行いましょう。使いやすさ、安定性、セキュリティ面などを総合的に評価し、最適なツールを選びます。
さらに、受講者側の環境についても事前に確認し、接続テストを行うなど必要に応じてサポートを行うことも大切です。
リハーサルを実施する
オンライン研修の本番前には、必ずリハーサルを実施しておきましょう。
研修のスケジュールやシステムの動作、機器の接続状況、資料の表示などを入念にチェックすることが重要です。リハーサルを通じて予期せぬトラブルを事前に発見し、対策を講じることができます。
また、講師の話し方やペース配分なども確認し、調整を行います。入念なリハーサルを行うことで、スムーズかつ効果的な研修を実施することができるのです。
オンライン研修を成功させるポイント
オンライン研修を成功させるポイントは以下の通りです。
- 目的と目標を明確に設定する
- 適切な研修内容と形式を選択する
- 受講者のモチベーション管理を行う
- 運用体制の整備とフォローアップを行う
それぞれ詳しく解説します。
目的と目標を明確に設定する
オンライン研修を導入する際は、まず研修の目的と目標を明確に設定することが重要です。
社員のスキルアップ、組織の生産性向上、コンプライアンス意識の徹底など、研修の目的を具体的に定義します。
また、目標達成のための評価指標を設定し、研修の効果を測定できるようにしておきましょう。明確な目的と目標があれば、研修内容の設計や運用がしやすくなります。
適切な研修内容と形式を選択する
オンライン研修の内容と形式は、研修の目的や対象者に合わせて適切に選択する必要があります。
e-learningによる知識の習得、動画コンテンツによる実践的なスキルの学習、ライブ配信によるインタラクティブな討議など、研修の狙いに応じて最適な形式を採用しましょう。
また、社員の学習ニーズや習熟度に合わせて、研修内容をカスタマイズすることも効果的です。
主な形式はオンデマンド型・ライブ配信型・アーカイブ配信型の3種類
オンライン研修の主な形式はオンデマンド型・ライブ配信型・アーカイブ配信型の3種類です。
オンデマンド型は、予め録画された動画コンテンツを受講者が好きな時間に視聴する形式で、自分のペースで学習できるメリットがあります。
ライブ配信型は、講師がリアルタイムで講義を配信し受講者とのコミュニケーションを取りながら進める形式で、臨場感があるのが特徴です。
アーカイブ配信型は、ライブ配信の内容を録画し後から視聴できるようにした形式で、両者の利点を兼ね備えています。
受講者のモチベーション管理を行う
オンライン研修では、受講者が自律的に学習を進める必要があるため、モチベーション管理が重要なポイントとなります。
受講者のエンゲージメントを高めるために、研修の意義や目的を丁寧に説明し、学習の進捗状況に応じて適切なフィードバックを提供します。
また、受講者同士のコミュニケーションを促進したり、ゲーミフィケーションの要素を取り入れたりするなど、学習意欲を高める工夫も有効です。
運用体制の整備とフォローアップを行う
オンライン研修を成功させるには、運用体制の整備と継続的なフォローアップが欠かせません。
研修の運用を担当する人材を明確にし、受講者の学習状況を定期的にモニタリングする体制を整えましょう。
また、研修終了後も学習内容の定着度を確認し、必要に応じてフォローアップ研修を実施するなど、継続的な学習支援を行うことが重要です。
運用体制の整備とフォローアップにより、オンライン研修の効果を最大限に引き出すことができるでしょう。
オンライン研修を実施する際の注意点
オンライン研修を実施する際の注意点は以下の通りです。
- セキュリティ対策を徹底する
- 受講者の学習環境を整備する
- コミュニケーションを活性化する
- 研修効果の検証と改善を行う
それぞれ詳しく解説します。
セキュリティ対策を徹底する
オンライン研修では機密情報や個人情報を扱うことが多いため、セキュリティ対策の徹底が必要不可欠です。
研修プラットフォームやコンテンツの選定時には、セキュリティ面での信頼性を十分に確認しましょう。
また、受講者に対してもセキュリティポリシーの順守を徹底し、情報漏洩のリスクを最小限に抑えることも重要です。
受講者の学習環境を整備する
オンライン研修では、受講者が自宅や職場など様々な場所で学習を進めることになります。そのため、受講者の学習環境を整備することが重要なポイントです。
インターネット接続の安定性や学習に適したデバイスの確保、集中できる学習空間の確保など、受講者が円滑に学習を進められる環境を整えるよう支援しましょう。
快適な学習環境は、受講者の学習効果を高めるために欠かせません。
コミュニケーションを活性化する
オンライン研修では、対面での学習に比べてコミュニケーションが取りづらくなる傾向があります。
そのため、受講者の孤立感を防ぎ学習意欲を維持するためには、コミュニケーションの活性化が重要です。
コミュニケーションを活性化するには、オンラインでのグループワークやディスカッション、チャットツールの活用など、受講者同士のインタラクションを促進する仕掛けを取り入れましょう。
また、講師や運営スタッフとの積極的なコミュニケーションも、受講者の不安解消につながります。
研修効果の検証と改善を行う
オンライン研修の効果を最大限に引き出すには、継続的な検証と改善が欠かせません。
研修の受講率や完了率、受講者の満足度、学習内容の理解度など、様々な指標を用いて研修の効果を多角的に検証しましょう。
また、受講者からのフィードバックを収集し、研修内容や運用方法の改善に活かしていくことも重要です。PDCAサイクルを回しながら、オンライン研修の質的向上を図っていきましょう。
オンライン研修にお困りですか?
オンライン研修は、時間と場所の制約を受けずに効率的な学習を実現できる、現代の企業にとって欠かせない人材育成の手法です。
本記事では、オンライン研修の概要やメリット、成功させるためのポイント、注意点などを詳しく解説しました。
社会環境の変化に対応し、企業の競争力を高めるためにも、オンライン研修の戦略的な導入と運用が求められています。本記事を参考に、自社に最適なオンライン研修の在り方をご検討ください。