研修講師は、社員の能力開発やスキル向上を目的とした研修の設計から実施まで担う重要な役割です。効果的な研修を行うには、講師自身が専門知識やファシリテーションスキルなどを身につける必要があります。
そこで本記事では、研修講師に求められるスキルや、研修を成功させるためのポイントとコツを詳しく解説します。
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研修講師とは
研修講師とは、企業や組織における人材育成を目的とした研修を担当する専門家です。社員の能力開発やスキル向上のために、研修プログラムの設計から実施まで、一連のプロセスを担います。
研修講師は社内外から選任され、それぞれにメリットとデメリットがあります。
効果的な研修を実施するには、講師の専門性と経験が重要です。
社内研修講師のメリット・デメリット
社内研修講師のメリットは、企業や組織の文化、業務内容に精通しているため、具体的な事例を交えながら研修を行えることです。また、社内の人間関係や課題を理解しているため、受講者のニーズに合わせた研修を提供しやすくなります。
一方、デメリットとしては、社内の人間関係が研修に影響を与える可能性や、新しい視点や発想が得られにくいことが挙げられます。
社外研修講師のメリット・デメリット
社外研修講師のメリットは、豊富な知識と経験を持ち、多様な企業での研修実績があることです。外部の視点から客観的にアドバイスできるため、組織の盲点を発見しやすくなります。また、最新の研修手法やトレンドを取り入れられる場合もあるでしょう。
一方デメリットは、社内事情に詳しくないため、研修内容が実情に合わない可能性や、費用が高くなる傾向にあることです。
研修講師に求められるスキル
研修講師に求められるスキルは様々ですが、主に以下の4つです。
- 企業・業界に対する専門知識
- ファシリテーションスキル
- コミュニケーションスキル
- インタラクションスキル
それぞれのスキルについて詳しく解説します。
企業・業界に対する専門知識
研修講師には、担当する企業や業界に対する深い知識が求められます。業界の動向、競合他社の状況、法規制などを理解していることで、研修内容をより実践的で有益なものにできます。
また、企業の経営課題や目指す方向性を把握することで、研修の目的を明確化し、効果的なプログラムを設計することができるでしょう。
ファシリテーションスキル
ファシリテーションスキルとは、グループの議論や活動を円滑に進行させ、メンバーの参加を促して目標達成に導く能力です。
研修では、適切な質問やフィードバックを通じて、受講者の気づきを促し、学びを深めることが求められます。そのため、ファシリテーションスキルを持つ講師の研修によって受講者の主体性を引き出し、グループのメンバー間の相互作用を活性化させられるでしょう。
また、ファシリテーションスキルによって議論を円滑に進行させることも大切です。
コミュニケーションスキル
コミュニケーションスキルとは、相手の意見を正確に理解し、自分の考えを適切に伝える能力です。
研修講師は、受講者との信頼関係を構築し、双方向のコミュニケーションを促進することが求められます。わかりやすい言葉で説明し、受講者の理解度を確認しながら進めることが必要です。
また、非言語コミュニケーションにも配慮し、受講者の反応を読み取る力も求められます。
インタラクションスキル
インタラクションスキルとは、受講者同士の相互作用を促進し、能動的な学習を引き出す能力です。受講者の参加意欲を高め、能動的な学習を促すために重要なスキルです。
研修では、ワークショップやグループディスカッションなどの参加型手法を用いて、受講者同士の交流を深めることが求められます。ゲームやシミュレーションを取り入れるなど、楽しみながら学べる工夫も必要でしょう。
インタラクションを通じて、受講者の学びを最大化することが研修講師の役割です。
研修を実施する際のポイント
研修を実施する際のポイントは以下の4つです。
- 企業・受講者の課題を明確にする
- 目的・目標を受講者に共有する
- 座学・実践をバランスよく取り入れる
- 振り返りやフォローアップを取り入れる
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
企業・受講者の課題を明確にする
研修を実施する際は、企業や受講者の抱える課題を明確にすることが重要です。
課題を正しく理解することで、研修の目的や目標を設定しやすくなります。事前にヒアリングを行い、問題の本質を見極めましょう。
また、課題に優先順位をつけ、研修で重点的に取り組む内容を絞り込むことも大切です。
目的・目標を受講者に共有する
研修の目的や目標を受講者と共有することは、研修の効果を高めるために欠かせません。受講者が研修の意義を理解し、主体的に取り組む姿勢を持てるよう、丁寧に説明しましょう。
また、目標を具体的かつ明確に設定し、達成基準を示すことで、受講者のモチベーションを高められます。
座学・実践をバランスよく取り入れる
研修では、座学と実践をバランスよく取り入れることが重要です。
座学では、知識やスキルを体系的に学ぶことができます。一方、実践ではロールプレイングやケーススタディなどを通じて、学んだ内容を実際に活用し実践力を養います。
座学と実践を効果的に組み合わせることで、研修の学習効果を最大化できるでしょう。
振り返りやフォローアップを取り入れる
研修の学びを定着させるために、振り返りやフォローアップを取り入れることが大切です。研修の最後に、受講者に学んだ内容や気づきを振り返る時間を設けましょう。
また、研修後のフォローアップとして、実践課題や個別面談などを実施することで、継続的な学びを支援することができます。振り返りやフォローアップを通じて、研修の効果を高められるでしょう。
研修を成功させるコツ
研修を成功させるコツとして、以下3つが挙げられます。
- 受講者のレベルに合った研修内容を設計する
- 専門用語や難しい言葉を使わない
- 受講者が思考する時間・機会を設ける
それぞれ詳しく解説します。
受講者のレベルに合った研修内容を設計する
研修を成功させるためには、受講者のレベルに合った内容を設計することが重要です。受講者の知識やスキル、経験などを事前に把握し、適切な難易度の研修プログラムを用意する必要があります。
研修レベルが高すぎると受講者が付いていけず、低すぎると物足りなく感じてしまうでしょう。そのため、受講者のレベルに合わせて、研修内容を最適化することが求められます。
専門用語や難しい言葉を使わない
研修では、専門用語や難しい言葉をなるべく使わないようにしましょう。
受講者によっては、専門知識を持っていない場合があります。そのため、一般的な言葉で説明することで、研修内容を十分に理解しやすくなります。専門用語を使う際は、必ず解説を加えるなどの配慮を行いましょう。
また、抽象的な概念は具体例を交えて説明するなど、わかりやすい言葉で伝えるよう心がけることも大切です。
受講者が思考する時間・機会を設ける
研修では、受講者が自ら考える時間と機会を設けることが重要です。一方的に知識を伝えるのではなく、受講者が能動的に学べるよう、働きかけを行いましょう。
研修を実施する際は、受講者へ問いかけを行い、考えを言語化させる機会を作ります。また、グループディスカッションやワークショップを取り入れ、受講者同士が意見を交換できる場を提供することも効果的です。
受講者の思考を刺激することで、学びを深められるでしょう。
まとめ
研修講師は、研修効果を左右する大きな要因の一つです。研修講師に求められるスキルを理解し、研修に向けて高めていくことが大切です。
また、実施する際はポイントやコツを抑えて、スムーズかつ効果的な研修ができるよう準備を行いましょう。
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