2024年の企業研修トレンドと今後の展望。人事・研修担当者300名のアンケート結果から考察

▼POINT✅ コミュニケーション研修が最多実施✅ 研修対象の中心は若手社員と中堅社員✅ 研修内容の改善必要性とリソース不足の課題 今日の競争の激しいビジネス環境において、企業は従業員の継続的な成長と能力開発を重視してお […]

人事-研修担当者300名へのアンケート調査

【2024年度最新版】企業を取り巻く環境が目まぐるしく変化する中で、各企業では、どのような研修を実施しているのか。人事・研修担当者の関心が高い社員研修の実施状況を可視化!社員研修を見直すきっかけになる結果となっていますので、ぜひダウンロードしてご覧ください。
▼POINT
✅ コミュニケーション研修が最多実施
✅ 研修対象の中心は若手社員と中堅社員
✅ 研修内容の改善必要性とリソース不足の課題

今日の競争の激しいビジネス環境において、企業は従業員の継続的な成長と能力開発を重視しており、研修はそのための重要な手段として位置付けられている。しかしながら、研修の効果的な実施には、最新のトレンドや他社の取り組み状況を把握することが不可欠である。

本稿では、人事・研修担当者300名を対象に行ったアンケート調査の結果を基に、2024年における企業研修の最新動向を分析する。

2024年現在、コミュニケーション研修の実施が最多となる

図1 「現在あなたの会社で実施している研修の内容・テーマは?」というアンケート結果(当てはまるものすべてを回答)

「現在あなたの会社で実施している研修の内容・テーマは?」というアンケート結果

企業はコミュニケーション能力の育成に注力

本調査の結果、最も実施率が高かった研修は1位 コミュニケーション研修(62%)であり、次いで2位 伝え方研修(52%)、3位 リーダー研修(51%)という結果となった。

この結果から、企業は従業員同士の良好な関係構築、円滑なコミュニケーション、そして適切なコミュニケーション能力の育成に注力していることが明らかになった。

この背景には、近年の社会状況の変化が大きく影響していると考えられる。具体的には、コロナ禍によるコミュニケーション不足、多様な働き方の浸透、ハラスメント防止への意識の高まりなどが挙げられる。特に、リモートワークの普及に伴うコミュニケーション不足や、多様な働き方によるチームワーク維持の難しさは、企業にとって新たな課題として浮上している。

これらの要因により、2024年現在において、コミュニケーション研修は企業にとって最も重要なテーマの一つとなっていると言える。従業員間の良好なコミュニケーションは、業務効率向上、組織全体の活性化、離職率の低下、企業イメージの向上など、多岐にわたる効果をもたらす。

どの年次でもコンプライアンス関連の研修が多く実施されている

図2 「各研修の対象者、年間の実施回数、1回当たりの時間は︖」に対するアンケート結果(当てはまるものすべてを回答)

 「各研修の対象者、年間の実施回数、1回当たりの時間は︖」に対するアンケート結果

企業はコンプライアンスを重要課題としている

各年次における研修実施の特徴的な傾向が明らかになった。特筆すべきは、コンプラ・ハラスメント研修が新入社員(72%)、若手社員(79%)、中堅社員(81%)、管理職(77%)と、すべての階層で70%を超える高い実施率を示していることである。この結果は、企業がコンプライアンスを全社的な重要課題として位置付けていることを示している。

また、コンプラ・ハラスメント研修の実施頻度を見ると、年1回(42%)または2-3回(26%)の実施が主流となっており、定期的な知識のアップデートが図られている。研修時間は1-3時間(58%)の短時間での実施が最も多く、業務との両立を考慮した効率的な実施が心がけられている。

近年、ハラスメントやメンタルヘルス問題は社会的に注目を集めており、企業は従業員が安心して働ける環境づくりに注力している。また、企業の社会的責任(CSR)やESGへの関心の高まりも、これらの研修の重要性を増している要因となっている。

各年次における研修実施の特徴

各階層別では下記の特徴がみられる。

新入社員層

コミュニケーション研修(82%)、メンタルヘルス・ハラスメント研修(73%)書き方の研修(76%)が特に重視されており、ビジネスの基礎力強化に重点が置かれている。

中堅社員層

リーダー研修(74%)、部下育成・後輩指導研修(70%)の実施率が高く、マネジメント力の育成が重視されている。

管理職層

人事評価研修(77%)、部下育成・後輩指導研修(75%)に重点が置かれ、組織マネジメントスキルの向上が図らている。

研修を組み立てる際は、コンプライアンス関連の研修に加え、各階層で求められるスキルを研修に取り入れるといいだろう。

今後も「コミュニケーション研修」を重要視している

図3「今後2~3年を見据えて、会社として強化していきたい研修内容・テーマ」についての解答結果(当てはまるものすべてを回答)

「今後2~3年を見据えて、会社として強化していきたい研修内容・テーマ」についての解答結果

今後もコミュニケーション能力を注視

今後2~3年を見据え、企業として強化していきたい研修内容・テーマに関する設問では、1位 コミュニケーション研修(38%)、2位 伝え方研修(33%)、3位 考え方の研修(32%)と、上位を占める研修内容の多くがコミュニケーションに関連するものであった。最も注目すべきは、現状で最も高い実施率を誇るコミュニケーション研修(実施率62%)が、今後の強化項目としても1位(38%)となっていることである。

コミュニケーション関連研修の強化が重視される背景には、コロナ禍によるコミュニケーション不足、多様な働き方の浸透、ハラスメント防止意識の高まりといった要因が考えられる。

リモートワークの普及に伴うコミュニケーション不足、多様な働き方による相互理解の必要性、ハラスメント防止の観点から、企業はコミュニケーション研修を重視していると言える。良好なコミュニケーションは、業務効率向上、組織活性化、離職率低下、企業イメージ向上など、多岐にわたる効果をもたらし、働きやすい職場環境づくりに貢献する。

IT/DX研修とモチベーション研修の重要性を感じている

図4 図1と図3の結果を比較して順位差を調査。

注目すべき傾向として、IT/DX研修(+6位)、モチベーション研修(+6位)がトップ10入りしており、デジタル化への対応と従業員のモチベーションが課題として認識されている。

IT/DX研修の需要急増は、ChatGPTに代表されるAI技術の急速な進化や、デジタルトランスフォーメーションの加速が背景にある。一方、モチベーション研修のニーズ上昇は、ハイブリッドワークの定着による組織の一体感低下や、若手社員の早期離職問題への危機感を示している。デジタルスキル不足による競争力低下リスクと、従業員エンゲージメント低下による組織力低下リスク。この二つの課題に同時に取り組む必要性を、企業は強く認識し始めている。

研修担当者には、これらの多面的なニーズに応えつつ、限られたリソースで最大の効果を上げることが求められている。そのためには、研修内容の見直しだけでなく、実施方法の工夫や、効果測定の精緻化など、より戦略的なアプローチが必要となるだろう。

まとめ

本稿では、人事・研修担当者300名を対象としたアンケート調査に基づき、2024年の企業研修の最新動向について分析した。

コミュニケーション研修は、依然として多くの企業で重視されており、その必要性は今後さらに高まると考えられる。

研修の効果を高めるためには、研修の目的や対象者に合わせた内容にすること、オンラインとオフラインを効果的に活用すること、効果測定に基づいた改善を継続していくことが重要である。

  • 調査概要
  • 調査方法:Webアンケート
  • 調査期間:2024年2月29日~3月4日の計5日間
  • 回収件数:300名
  • 調査対象者:民間企業に勤める人事・研修担当者
    ※従業員数1,000名未満の企業が44%、1,000名以上の企業が56%

本調査結果は、ホワイトペーパー「社員研修の実態と本音~2024~」から一部データを抜粋・編集して紹介しています。

「社員研修の実態と本音~2024~」

この記事を書いた人

研修メディア監修者・廣瀬哲人

当メディアの監修者:廣瀬哲人
株式会社ENロジカルの代表取締役として、企業研修・Eラーニングの開発や提供を行っています。京都大学在学中に、脳科学についての研究を行っており、現在ではAI(人工知能)技術のビジネス活用など、デジタル技術に精通した専門家として、ChatGPTなど生成AIの活用やDX人材の育成に関する企業研修・セミナー・講演講師を務めております。
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