導入事例

英語で考え、英語で伝える。オールイングリッシュで大学レベルの授業を体験。その成果とは?

  2026.04.01
主な対象 高校1年生の参加希望者80名 内容学内留学(都市開発学・天文学・心理学・ビジネス学)

大阪府立北野高等学校は、次代のリーダーとなる人材の育成をめざすグローバルリーダーズハイスクール(GLHS)の選定校として、さまざまな学びの機会を用意し、グローバル人材育成に取り組んでいます。

その一環として、2012年からヒューマンアカデミーが提供する、オールイングリッシュによる大学レベルの一般教養講座「学内留学(General English講座)」を継続して実施しています。

今回は学内留学の統括を担当されている英語科教員の古平貴文先生、講座を受講した古屋日菜子さんからお話を伺いました。

目的英語をツールとしてコミュニケーションを図る経験を積み、そこで得た自信を英語学習のモチベーションにつなげる。
内容 約4ヵ月をかけて、1年生の参加希望者の学生80名に、「都市開発学」「天文学」「心理学」「ビジネス学」の4分野の講座をオールイングリッシュで実施。ネイティブ講師と英語での議論やプレゼンテーションを通して、英語力向上とともに、思考力・情報収集力・分析力・表現力を一体的に養うことを目指す。

学内留学の概要

大学レベルの知識を英語で学び、発表する

本校では、さまざまな学びのきっかけを用意しています。海外研修、授業外でのディベート活動、留学生の受け入れ、大学ツアーなど、生徒が興味を抱いたことに、自ら足を踏み入れていくチャンスがあります。学内留学も、通常の授業とは別に行っている取り組みの一つで、10年以上継続実施しています。主な対象は1年生の参加希望者80名で、2025年は「都市開発学」「天文学」「心理学」「ビジネス学」の4分野に分かれて、オールイングリッシュで知識をインプットして英語でアウトプット、つまりプレゼンテーションを行うという内容です。

学校説明会に訪れた中学生が、学内留学のプレゼンテーションを目にして、英語で発表に取り組む先輩たちの姿に憧れて、入学後に参加を志望する生徒も少なくありません。

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授業の感想

アイデアを持ち寄り、英語で議論するのが楽しい

起業や経営に興味があり、ビジネスの知識は将来役立つかもしれないと思い、ビジネス学を受講しました。オールイングリッシュの授業で不安もありましたが、自分がどのくらい理解できるのか知りたかったし、友達と話し合って進められるなら頑張れるかなと思って、楽しみにもしていました。

授業は、まずその日取り上げるテーマに関する講義があって、その後グループで考えるという流れで進みました。例えば1回目のテーマは「ホテル」でした。まず、世界各国の特徴的なホテルについて紹介があって、海中にあるホテルの存在を聞いて「そんなのもありなんだ」って思ったりしながら、その後みんなで自分たちがホテルを作るならどうするか、価格設定や宣伝方法なども含めて考えるというものでした。グループ内で英語で話し合いながら、発表資料を作っていくのがとても楽しかったです。

英語の学習面でいうと、知らない単語がとても多く出てきて、友達と相談しながら取り組みました。でも新しく知った単語が増えて、ディベートの機会で覚えた単語を少しだけ使うことができて、それがとてもうれしかったです。文法が完璧でなくても、自分の知っている言葉で工夫して伝えるという経験ができました。

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考え抜いたビジネスアイデアを、英語で80名を前にプレゼン

最終回には、各講座の代表グループが受講者全員の前で英語によるプレゼンテーションを行います。私たちのグループは「中高生のための古着売買アプリ」を提案しました。服の適正価格がわからない中高生に対して、AIが査定するビジネスモデルです。売れ残りの廃棄は環境に悪い、引き取りには在庫スペースの限界がある——考えるほどに課題が浮かび上がり、ビジネスの奥深さを実感しました。最終的には納得のいく内容にまとまり、ビジネス学の代表として80名の前で発表することができました。

本番前には講師の方から「利益の部分は既存企業と比較すると分かりやすい」「ここは省略して、こちらを強調した方が伝わる」といった具体的なアドバイスをもらい、プレゼンをブラッシュアップできました。発表後には「内容が凝縮されていて良かった」と評価していただき、うれしかったです。

学びへの姿勢の変化―「まずは自分で考える」ことの楽しさに気づいた

学内留学を通じて、興味と視野が大きく広がりました。以前は遠い存在だった政治経済のニュースも、まずは新聞で理解できるところから読み始めるようになりました。また、以前は授業で公式を教わって「なるほど」と納得する感じでしたが、今は自分で考えてから先生の解説を聞いて、「ここにつながるんだ」と発見することが増えました。例えば、公共の授業で国際経済を学ぶときに、「なぜ円高になるのか」という原因を論理的に考えるのが楽しいと思えるようになりました。数学の証明問題でも「この公式を使う理由は何だろう」と考えてから答えを書くようになりました。多角的な視点から考える力がついたし、その考えるプロセスが楽しいことにも気づけました。

英語に対する意識も大きく変わりました。文法をできるだけ意識しながら、不完全でもとにかく伝える努力をしようと思えるようになりました。今回、プレゼンで緊張して言い忘れたことがあっても、後で言葉を補って伝える経験ができました。もともと英語で話すこと自体は好きでしたが、「間違ってもいいから伝える」という意識に変わったのは、学内留学のおかげです。そして今、学内留学でこれだけ変われたのなら、実際に海外に行ったらどんな成長ができるだろうと、海外留学にも興味を持つようになりました。

講義に対する評価

インプットとアウトプットを両輪で回す、北野高校の英語カリキュラム

本校の英語教育の根底にあるのは、「実用的な英語」です。通常の授業では、カリキュラムは大きく2つの教科で構成されています。1つは「総合英語」、もう1つは「ディベート・ディスカッション」です。

総合英語は、インプット中心の「Com(コミュニケーション)」と、アウトプット中心の「EX(エクスプレッション)」の2つの授業に分かれています。Comではリーディングやリスニングを通じて知識を吸収し、EXではライティングを軸に表現力を磨きます。もう一方の「ディベート・ディスカッション」は、ALT(ネイティブの先生)とともに進める実践型の授業です。1年生では資料を読んでパラグラフを書いたり、自分の意見をまとめたりする活動から始め、2年生からは本格的なディベートに取り組みます。

こうして日頃からインプットとアウトプットを意識した授業を行っており、学内留学もその取り組みのひとつとなります。

一つのテーマを深く掘り下げ、知識と視野を広げる「絶妙な設計」

通常の英語の授業では、一つの専門的なテーマをここまで深く掘り下げて考える機会がなかなかありません。学内留学の大きな意義は、専門分野の知識を英語でインプットし、その知識を活用して英語でアウトプットすることで、語学力と思考力を同時に引き上げられる点にあります。

それを実現するために、教材についても、テーマごとにオリジナルで作成されており、専門性の高い内容を高校生が理解できる最適なレベルに落とし込んでいただいています。大学の論文のような、難しい内容をそのまま読み解くのではなく、学術的背景と親しみやすさが両立した絶妙な難易度設計を高く評価しています。

講師の方々はとてもフレンドリーで、高校生と接することに慣れていらっしゃるので、信頼感があります。参加した生徒たちへの事後アンケートでも、ほとんどの項目で高い評価がついていました。

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学内留学の成果と今後の取り組み

「英語×専門知識」がもたらす、学びの好循環

学内留学は、オーラルコミュニケーションの力を伸ばせる点が特長です。英語で意見を問われ、自分の言葉を英語で返すためには、オーラルコミュニケーションの「瞬発力」を上げることが必要です。日頃の授業でも、語彙・文法を吸収する→英語で文章を作る→その積み重ねで瞬発力が上がる→発話できる自信が生まれる、という良い循環をめざしていますが、学内留学はその凝縮した実践の場になります。

学内留学に参加した生徒の多くは、困難を乗り越えたことで自信がつくのか、その後の授業でも積極的にコミュニケーションを取るようになります。ペアワークでのスピーチやディスカッションがスムーズになり、学期末のオーラルパフォーマンステストやプレゼン・ディベートでも流暢さと積極性が明らかに変わります。また、さきほど「多角的な視点が身に付いた」と言ってくれた古屋さんのように、学内留学の経験が結果として思考や行動の変化、成長につながる生徒も少なくありません。

英語を学びながら同時に専門分野の「都市開発学」「天文学」「心理学」「ビジネス学」などを学ぶことは通常の授業では難しく、そこにこのプログラムの価値を感じています。通常の授業では習わない未知の分野について思考し、情報を集め、分析力・表現力を一体的に高める機会を、今後も継続して用意していきたいと思います。

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学校名 大阪府立北野高校
公式サイト https://www2.osaka-c.ed.jp/kitano/