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新卒は触ったことがない?3次元CADやBIMが大学の建築学科への普及が弱い理由

新卒は触ったことがない?3次元CADやBIMが大学の建築学科への普及が弱い理由

建築学科を卒業した学生を採用した際に、業務に必要なスキルを持っていなかった、という経験はありませんか?すでに企業では当たり前のように普及し、使われている最新の技術が、大学ではまだ教えられていない場合があります。その際、現場は大変歯がゆい思いをすることになってしまいます。今回は、新入社員と3次元CAD・BIMについてお伝えします。

3次元CADもBIMも触ったことがない新入社員


8181-00003-02.jpg建築業界の企業への入社を考えている建築学科の学生ならば、大学でBIMを使ったことくらいあるだろう――そんな期待をしていると、新入社員が3次元CADにもBIMにも触ったことがないという事実を目前にして、驚いてしまうことがあるかもしれません。実は、大学の建築学科においてBIMを必修としているのはごく一部に過ぎず、いまだに手書きの図面だけを教えているというケースは決して珍しくありません。







2次元CADの技術を身に着けた学生が現場で苦労する例

中には独学で2次元CADの技術を身に着ける、意欲的な学生もいます。それらの学生は、大学の講義で学ぶのとは別に、独学でフリーソフトの使い方を学び、2次元CADを使いこなせるレベルにまで達しているのです。しかし、このような意欲的な学生が現場に出た後で、苦労する例は少なくありません。せっかく身につけたスキルも、就職先の企業が3次元CADソフトを主要として使っていた場合には、全く役に立たなくなってしまうためです。このように、せっかく身につけたスキルで歯が立たない状況に置かれて、失望してしまう新入社員がいます。

大学とは別にBIMの講座を受ける学生もいる

その一方で、建築業界を目指すにあたって必要なスキルを大学で学べないことに気づいた学生が、大学以外の場所でBIMの講座を受講するケースもあります。当然ながら、講座を受講するにあたっては受講料も発生します。さらに、大学で出される課題に加え、自主的に課題をこなさなければならないということも、大きな負担になっているでしょう。
大学での講義の内容がより時代に即したものになれば、新入社員が3次元CADもBIMも触ったことがないという現在の現状は改善されるのかもしれません。

3次元CAD・BIMを大学で学ぶには

8181-00003-03.jpg現在、3次元CADやBIMをカリキュラムに取り入れている大学は、実際に業務でソフトを利用している講師を招いて、講義を実施しています。長い期間をかけることのできる大学での教育によって、学生がソフトの使い方を身につけることは充分に可能だと言われています。ただし、すべての企業が大学の教育に即戦力を期待しているわけではありません。建築についての理解を深めることももちろん重要です。
大学の建築学科を卒業した学生に対して企業が求めるスキルと、実際に大学で学ぶことのできる内容に深刻なずれが起こらないように、新しい教育が始まりつつあります。




2次元の図面を描けなくなる?

では、なぜ3次元CADやBIMをカリキュラムに取り入れている大学が少ないのでしょうか?そこには、大学で3次元での設計のみを教えることで、2次元の図面が描けなくなるのではないかと懸念されている、という側面もあるようです。3次元CADやBIMで設計する企業への就職を考えるのであれば、それほど問題がないように見えるかもしれません。しかし、単純にソフトの使い方を指導するだけでなく、そこにある仕組みや意味を理解できるようにするための大学教育としては、この点が難しいところです。

それでも、新しいテクノロジーを取り入れながら、建築を理解できる学生を育成しなければなりません。そしてそのような学生を養成できる教育が今、求められています。

3次元CADやBIMが学べる環境を

8181-00003-04.jpg現在では、まだ卒業制作においても図面での提出が義務づけられているといった例もあります。しかしながら、卒業後に就職してから3次元CADやBIMと出会い、苦戦する学生が多いという現状も事実です。
建築業界において、今後これらのソフトはますます普及していくことが考えられます。このようなギャップをなるべく少なくするためにも、大学で3次元CADやBIMを学べる環境を整えていく必要があるでしょう。単にソフトの使い方を学ぶだけにとどまらず、建築への理解も深めていくような学びのために、新しい教育が模索されています。




おわりに

今回は、大学の建築学科と3次元CAD・BIMについてお伝えしました。現在、建築業界でこれらのソフトが普及しつつある中で、大学の建築学科での教育に対して期待するものも変化しつつあります。それに対して、大学でも企業が求めるものとのギャップが少なくなるよう、新しい教育が模索されています。まだ教育において2次元の図面が一般的である今は、より多くの大学が3次元CAD・BIMをカリキュラムに取り入れていく過渡期と言えるでしょう。

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