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生産性が向上する建築ソフト、BIMによる設計とコストについて

生産性が向上する建築ソフト、BIMによる設計とコストについて

BIM(ビム)とは、「Building Information Modeling」の頭文字をとった略称です。
建物を情報で形成するという意味を持つこの仕組みは、海外はもちろん、現在は日本国内の建築業界で大きな注目を集めています。
そこで今回は、BIMを使った設計における概念や、生産性向上やコストカットといったメリットについて解説します。

BIM設計の概念

8181-00004-02.jpg平面図・立体図・断面図を組み合わせ作成する3DCADに対し、BIMは実際の建物をコンピューター上に建てるというコンセプトがあります。そのため、目に見える部分だけではなく、壁や天井裏にある梁(はり)や配管といったものまで全てをモデル化していきます。どの部分を切断したとしても断面図ができあがるという点が、これまでのCGを使ったモデルとの違いです。
ただし、設計時には図面よりも多くの情報が必要になります。「ただ柱がある」という情報だけではなく、どのような素材で、どのような価格のものを使っているのか?といった細かいオブジェクト情報を入力し、それらのパーツを組み合わせることで造形を形成します。
情報量が多いため、非常に便利な反面、入力を手間に感じることもあるかもしれません。また、BIMに関して一から指導していく場合は、教育にかかる時間がある程度必要なことを認識しておきましょう。

生産性・品質の向上をもたらすBIM

8181-00004-03.jpgBIMにはこれまでにない手間や初期コストがかかります。しかし、それを差し引いても享受できる大きなメリットがあります。それが「建物情報の統合・一元化」「整合性の自動調整」です。
これまでの図面を利用した設計では、多くの知識・経験を積んだ設計者でないと、平面に引かれた線だけで建物の全容を理解するのは困難でした。
しかし、BIMモデルを利用するとこれが3Dイメージとして確認ができ、案件に関わる全ての人が全員、同じ認識を持てるようになります。
また、設計・構造・設備・積算・施工に関わる全員がBIMを使ったデータのやり取りができれば、より精度の高い情報共有が実現するでしょう。もちろん、設計段階でヒューマンエラーが起こる可能性も否定できません。しかし、施工者なども設計のミスに気付けるため、いわゆるフロントローディング(作業前倒し)が可能となります。
さらにBIMの場合、図面を書き直した段階で自動的に整合性が保たれるため、不整合が起こりません。これまでの図面を使ったツールの場合、一部に変更を加えると関連する図面も書き直しを余儀なくされていました。3DCADであってもそれは同じです。
このような手間やミスを減らせることは、生産性向上はもちろん、品質安定化にも役立ちます。

小規模な企業・事務所にも有効

一般的に、BIMの導入は大手企業、もしくは設計事務所が中心となっています。ただし、実はBIMの機能は、小規模な企業・事務所でも大変役立ちます。
例えば「プロポーザルの設計」です。従来は大手企業の独壇場といったイメージがありましたがBIMの登場がこれを変えていっています。少人数で運営されている事務所であっても、大手と同じような提案ができるのは、大きな武器となるでしょう。CADを1つ1つ書いていくよりも、BIMモデルを使うほうがスピードも速くなります。

コストマネジメントで考えるBIMの活用

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BIM導入におけるメリットを語る上で、コストマネジメントの容易性は外すことのできないポイントです。
従来の建築プロジェクトの場合、建築や運営維持に必要な費用というのは、実施設計~施工の段階で決められるのが通例でした。一方、BIMを活用することで、このコストを概算ではありますが設計の上流工程の段階で算出できます。
ただし、BIMの活用をこれまでの設計手法の延長線上で捉えてしまうと、結局は実施設計~施工段階でコスト算出を行うことになってしまうため、優位性が損なわれます。そのため重要なのは、BIM活用をコストマネジメントの観点から推し進めていくことです。



 

BIMによって得られる情報

では実際に、BIMを利用するとどのような情報が得られるのでしょうか? 
コストマネジメントに関係する分野で絞っていくと、設計・数量・単価といったものが挙げられます。図面で算出する数量積算のような労力をカットし、かつ正確な情報を得られるという点も大きな魅力です。また、時系列に沿ったキャッシュフローの検討も可能になります。
なお、実際の場面においては、情報入力や管理といった工程はBIMソフトでは行わず、既存のシステムやデータベースと連携し、作業を分担させる方法・進め方がおすすめです。
すでに慣れ親しんだ積算システムなどの方が効率的ですし、教育コストについても意識せずに済みます。

おわりに

国土交通省がBIM導入プロジェクトを施行した2010年から、すでに長い月日が経過しました。ようやく近年になって建設事務所やゼネコンを中心に、BIMの普及が進んできたといえる時代になってきたのではないでしょうか。生産性向上やコストカットといったメリットを考えると、BIMは今後は建築業界のデファクトスタンダードなソフトになるのではと考えられます。

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