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BIMとは?2D-CADとの違いは?ソフト導入のメリットと注意点

BIMとは?2D-CADとの違いは?ソフト導入のメリットと注意点

BIMとは、Building Information Modelingの頭文字を取った略称です。直訳すると、「情報で構築された建物」という意味になり、専用のソフトを使ってパソコン上で3Dの建築モデルを組み立てていくワークフローを指します。
従来の平面的な設計や見た目だけの模型とは異なり、立体モデル(BIMモデル)を使って1つ1つに多くの情報を持たせるBIMは、近年の建築業界でよく使われている手法です。設計・施工・維持管理などのサイクル全体で蓄積された情報が活用され、業務効率化と建築デザインの革新につながるワークフローとして注目を集めています。
そこで今回は、BIMの概要やメリット、そしてBIM導入時の注意点などについてご紹介します。

BIMの概要・概念

8041-00006-2.jpgBIMでは、コンピューター内でシミュレートされる3次元空間に柱や壁を立て、窓を取り付けて、設計が行われます。図面を起こすというよりは、仮想の立体空間に実際に建物を建築する作業です。
BIMで使われる柱や壁には、大きく分けて2つの情報が組み込まれます。







形状情報 はじめにコンピューター上で作成される3次元のモデル。平面図・立面図・断面イメージなどの2D画面を切り出したり、CG・動画などに可視化したりといった活用ができる。
属性情報 「そのモデルが何なのか?」という文字情報。名称や寸法、仕様、性能、個数などが書き込まれる。集計・計算はもちろん、解析ソフトとの連携で環境シミュレーションも可能。










BIMの大きな特徴は属性情報です。2次元的な建築設計では不要とされるような情報も、BIMでは大きな役割を果たします。例えば、BIMモデルに書き込まれている鉄筋の寸法、補強材容積などをCSVデータに書き出して管理することも簡単にできます。

2D-CADの問題点を解決

従来、2D-CADで3Dデータを作成するためには、はじめに2次元で図面を起こします。そのあと、3次元を立ち上げてCG化という流れで、作業が進められていました。しかし、これは単純な線の集合体に過ぎません。設計変更などが加わった場合は、図面上で不整合が起こる可能性も考えられます。そのため、関連の2次元データをすべて修正する必要があり、大きな手間がかかっていました。
一方で、BIMは設計の初期段階から、3次元空間がシミュレートされる仕組みです。床や天井、階段などのBIMモデルもあらかじめ3Dで作られます。そして、一部の修正を行えば、平面・立体・断面・屋根伏図・パース・面積表・数量表などが自動的に修正されるため、圧倒的な作業の効率化につながります。

建設物の完成イメージをスムーズに共有

建物の平面図だけでは、専門家以外の素人には何がどうなっているかのイメージが伝わりません。その点、BIMを使えば初期段階から3次元モデリングを利用した可視化ができるため、発注者にも説明がしやすく、合意も得やすくなるでしょう。
また、関係している各部門とも建物のイメージをスムーズに共有できるため、トラブル回避にも役立ちます。

BIM導入時に覚えておきたい注意点

建築一般の知識が求められる

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平面図での設計は、ある意味で融通の利く手法です。大枠で成立さえしていれば、問題がない点はメリットとも言えるでしょう。
一方、BIMでは設計時に明確な条件下でのモデリングが求められます。そのため、シビアな条件に応えられるだけの知識と技術がオペレーターに必要となります。






 

連携先での導入環境

BIM導入で注意しなくてはならないことは、外部企業との連携です。相手がBIMを導入していない場合、図面データをDFXデータに変換するなどの手間が必要になります。BIMの普及率は近年上昇傾向にあるものの、規模の小さな建設事務所では、導入が遅れている可能性も十分に考えられるでしょう。BIMを導入する場合は、取引先や提携先の導入状況について、事前に確認しておくことをおすすめします。

普及が進みつつあるBIMの現状

大手・準大手企業の場合、現状としては8割以上がBIMを導入・活用しています。設備工事会社の場合には、まだ導入が進んでいるとは言い切れない状況ではありますが、将来的には普及が進んでいくでしょう。

社内研修を行う企業も増加中

BIMに関する社内研修の実施や、社内にBIMの推進組織を設置するなど、BIMへ強い関心を持つ企業は増加中です。現状はBIMオペレーター不足と考えられますが、近い将来には「業界では当然」のスキルになるかもしれません。

おわりに

ソフトウェア上の仮想空間に建物を建築すること、それがBIMの大きな概念です。作られた建物の中にある壁や天井などには、それぞれ形状情報と属性情報があり、情報量は2D-CADとは比べものになりません。さまざまなシミュレーションも可能になりますし、修正も容易になります。現状のワークフロー改善という意味はもちろん、今後普及が進み、CAD同様にBIMがスタンダードなスキルとなるでしょう。そのため、BIMオペレーター育成は企業にとって必須の課題と言えます。

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